全世界で大ヒット、YouTube何十億再生の童謡「Baby Shark」の謎

Courtesy of YouTube

童謡「Baby Shark(サメのかぞく)」は、インターネットを含む音楽チャートを席巻しながらも、誰一人として著作権を主張できないという。最初に作曲したのは誰なのか?

ある歌が音楽チャートを席巻し、YouTubeで何十億もの再生やダウンロード回数を記録し、さらにはカーディ・Bが今週末Instagramに投稿したようにセレブたちまでも虜にし、インターネット中に拡散しているとしよう。さぞかし作曲者は儲けているに違いない、と誰もが思うだろう。実のところ、2019年に旋風を巻き起こしている童謡「Baby Shark(サメのかぞく)」は誰にも儲けをもたらしていないのだ。なぜなら、この歌の所有権を主張できる作曲者がいないから。

「Baby Shark」がYouTubeを通してアメリカの音楽ファンを騒がせはじめたのは数年前のこと。子ども向けの教育コンテンツを手がける韓国の会社がPinkfongというキャラクターの動画を2015年にYouTubeに投稿し、2016年には驚くほどキャッチーな新しいビートとメロディーをのせてリミックス版を投稿したのがきっかけだ。しかし複数の情報源によれば、両方のバージョンの中核となる歌は、何十年も前からある、古い合唱用のチャントから派生しているようだ。リミックス版はK-popの人気歌手やアメリカのSNSの影響もあって瞬く間に人気を博し、Pinkfongを運営するスマートスタディ社によれば、今では11言語による100以上のバージョンが存在している。



現時点では、この歌の書作権をめぐり、最初に作曲したのは誰か? と複数の当事者が法廷、あるいはその他の場所での争いに巻き込まれている。2011年に自らのYouTubeチャンネルにこの歌をアップロードした子ども向けミュージシャンのジョニー・オンリーは、Pinkfongの最新バージョンは自分の楽曲とあまりにも似過ぎている、と韓国の裁判所に苦情を申し立てた。それに対するPinkfongは、「Baby Shark」が昔の童謡をもとに作曲されたものであり、いかなるアーティストの楽曲も使用していないと主張している。さらには、「Baby Shark」のドイツ語のダンスバージョンとも言える「Kleiner Hai」の存在もある。「Kleiner Hai」の作曲者であるアレクサンドラ・ミュラーは、米エンターテイメントメディアVultureに20年ほど前から「Kleiner Hai」を歌ってきたと述べた。「ドイツでは人気の子どもの歌なんです。それがどこからきているのかは、誰にもわかりません。著作権も調べましたが、クリスマスの歌のように、公法の管轄下であることがわかりました。要するに、印税が発生しないのです」とミュラー氏は言った。特定の楽曲のレコーディング権利もそうだが、著作権に限っていえば、「Baby Shark」の出どころは「ハッピーバースデートゥーユー」よりも神秘に包まれているようだ。



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Translated by Shoko Natori

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