エズラ・クーニグが語る、ヴァンパイア・ウィークエンドの帰還とニューアルバムの展望

ヴァンパイア・ウィークエンドのエズラ・クーニグ(Photo by Monika Mogi)



「バンドをやっている連中の多くが『もうロックは死んじまったよ、誰も気にしちゃいない』みたいな運命論者っぽい空気感を漂わせているのをよく目にするよ」とクーニグ。「だから、そんな状況でお前はどうする?って自問するわけだ。答えは音楽をやめるか、音楽を楽しむ方法を見つけるかの二者択一だよ。ここ2〜3年は今まで生きてきたなかで一番ギターを弾いていると思う」

新作には、ヴァンパイア・ウェークエンド初の試みで、ゲスト・ヴォーカリストが参加している。「だって同じ声でアルバム3枚も出しているからさ」とコーニグが言った。つまり彼の声のことだ。「自分たちの世界を少し広げるのもいいなって思ったんだよ」。



もう一つのチャレンジは、バンド活動を休止していたときにクーニグが書き溜めたマテリアルに、共通のテーマを見つけてアルバムとしてまとめることだった。「最初にクレイジーな野望があったんだ」とコーニグが明かす。ある時点では、彼の手元に見込みのあるデモ音源がたくさんあり過ぎて、23曲ずつ収録した2枚組アルバムを作ることも考えたという。「ほら、人間のDNAの染色体みたいに。正直な話、2枚組を作る寸前まで行ったけど、それは無理だと正気に戻った」とのことだ。

最終的に選んだのが18曲。1分半の短い曲から5分という長い曲まである。「エッセイみたいな曲もあれば、俳句みたいな曲もある。今のヴァンパイア・ウェークエンドは10〜12曲じゃ足りない。十分な曲数がないとバンドにとって大事な何かが欠落しているって感じなんだ」とクーニグが説明してくれた。

『ファーザー・オブ・ザ・ブライド』は収録曲の多くが結婚と恋愛をテーマにしている。タイトルからして1991年のスティーヴ・マーティン主演のロマコメ映画『花嫁の父』と同じだ。実はこのアルバムを計画していた初期の段階で、クーニグはこの映画をテレビで観たという。「僕は未婚者だけど」と言うクーニグは、最近パートナーのラシダ・ジョーンズとの間に子供を授かった。「誰でも大人になればそういうことって考えると思うんだ。“花嫁の父”という言葉には聖書みたいパワーがあるっていうか、すべて人と人の絆や結びつきだよ。それこそコミュニティとコミュニティの関係とか、人間と神の関係とか、人間と住処の関係とかね」と彼は続けた。

今作で取り上げたテーマは、ヴァンパイア・ウェークエンドの初期の作品から自然に成長した結果とクーニグは捉えている。「最初のアルバムに収録されていた楽曲のほとんどが大学時代に作られたから、若者らしい雰囲気にあふれていた。2枚目と3枚目は、当初の目を見開くほど興奮した情熱が大幅に冷めた状態だ。学生時代よりも広い世界を見て、世の中のことを知れば知るほど意気消沈するわけだよ。でも、そういう時期はいつか終わりがくる。死を扱った歌に合わせて白黒のアルバムカバー(『モダン・ヴァンパイア〜』)を作ったあと、これ以上深い闇はないと気づいた。つまり、新作は”それでも人生は進む”というレコードなのさ」とクーニグが言った。



<リリース情報>

「ハーモニー・ホール / 2021」

ヴァンパイア・ウィークエンド
「ハーモニー・ホール / 2021」
試聴・購入URL:
https://SonyMusicJapan.lnk.to/Vampire_Weekend

Translated by Miki Nakayama

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