ジェイ・Zとミーク・ミル、米有力者たちと刑事司法制度改革組織を結成

2019年1月23日、ニューヨークシティのジョン・ジェイ・カレッジでThe REFORM Allianceの発足式に出席したジェイ・Zとことショーン・カーターとミーク・ミル(Photo by Kevin Mazur/Getty Images for The Reform Alliance)

ジェイ・Zとミーク・ミルは、NFL ニューイングランド・ペイトリオッツのオーナー、ロバート・クラフト氏、NBA フィラデルフィア・セブンティシクサーズのオーナー、マイケル・ルービン氏らとともに、「REFORM Alliance」団体設立費用として5000万ドル(約54億円)の資金投入を約束した。仮釈放や保護観察法の規制下に置かれる人々を、5年で100万人減らすことを目標とし、また刑事司法制度改革への活動を行う。

フィラデルフィア・セブンティシクサーズの共同オーナーであるマイケル・ルービン氏は、ラッパーでチームの熱狂的なファンでもあるミーク・ミルと、何度も話し合ってきた。「ミークはよくこう言っていました。『マイケル、アメリカってのは2つあるんだよ』」水曜日、マンハッタンのジョン・ジェイ・カレッジで行われた記者会見で、ルービン氏は当時を振り返って言った。「私は、『兄弟、いったいなんの話だい?』と答えたものです」

そして2017年11月。ルービン氏は裁判所で、ラッパーが2年から4年の禁固刑を言い渡されるのを目撃。仮出所中にオフロードバイクでウィリー走行したことが、規定違反だとみなされたのだ。「1時間後、私のところに電話がかかってきました」とルービン氏は当時の状況を語った。電話の相手はミルだった。電話に出るなり、「言っただろう! アメリカは2つあるんだって!」とルービン氏はきっぱり言った。「確かにその通りでした。私は完全に間違っていたのです」と、ミルは返した。

この時の気づきが、REFORM Alliance設立の足掛かりとなった。現在保護観察下に置かれている、もしくは仮釈放中のアメリカ人は推定450万人。彼らを規制する「不条理でナンセンスな法律」の変革を目指した、新しい取り組みだ。水曜日、ミルとルービン氏は組織の発足を発表。ジェイ・Z、実業家でありNFLのニューイングランド・ペイトリオッツ、メジャーリーグサッカーのニューイングランド・レボリューション、ジレット・スタジアムのオーナーである、ロバート・クラフト、活動家のクララ・ウー・ツァイ、投資家のダニエル・ローブ、ギャラクシー・デジタル社創設者兼CEOのマイケル・ノヴォグラッツらをはじめ、ビジネス界の大物やスポーツチームのオーナーらとともに、団体設立のために合計5000万ドル(約54億円)の資金を投入すると公表した(彼らは、大音量で流れるビートルズの「レボリューション」をバックに、ステージに登壇した)。団体のリーダーには、同じくこの場に同席していたTV番組の司会者ヴァン・ジョーンズ氏が抜擢された。「この団体は、2人の男たちによるバディ・ムービーとしてスタートしました」と彼はスピーチで言った。「そして今、アベンジャーズとなったのです」。

2つあるアメリカの片方を代表する人々はこの記者会見で、もう一方のアメリカの惨状に気づかされたようだ。「声なき人々の代理人」と自称するミルが手短に挨拶した後、ルービン氏は、「今まで全く知らなかった世の中の様々な事を、巨大な不正がまかり通っているということを、ミルから教わった」と述べた。

目からウロコの体験をしたのは、ルービン氏だけではない。「私は今まで刑務所に行ったことはありませんでした」と、クラフト氏も聴衆に向かって言った。「刑務所に行って、(ロビンの招待でミルに)会ったあと、家に帰ってもまったく眠れませんでした――私のような人間がいかに世間知らずであるか、ずっと考えていたのです」

ノヴォグラッツ氏もこれに同調する。彼は、ニューヨーク市の刑務所船を訪れた時のことを振り返った。その直前に、TV番組『Time: The Kalief Browder Story』を見たばかりだった――この番組のエグゼクティヴ・プロデュサーを務めていたのがジェイ・Z。この日はほとんど口を開かなかった―ー予備審判中に1000日以上も拘留された末、自殺に追い込まれたブロンクス生まれの青年を描いたドキュメンタリーシリーズだ。「真の意味が隠れているのに気づきました。ここは奴隷船なんだと。私もニューヨークシティに暮らしているのに・・・こんなことあり得るんだろうか?」とノヴァグラッツ氏。「私はいたたまれなくなりました」。

Translated by Akiko Kato

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