【独占取材】55歳のスラッシャー、アンスラックスのスコット・イアンがバンド史を語る

―バンドメンバーとの関係はどうですか? 過去にはメンバーチェンジもありましたが。

俺とフランキー(フランク・ベロ/Ba)、チャーリー(・ベナンテ/Dr)、ジョーイ(・ベラドナ/Vo)の4人は1984年の終わり頃から一緒に活動してて、お互いのことを本当によく知ってるし、これまでに何枚もレコードを作って来たわけだからとても仲がいいよ。もしこの歳になって仲が悪かったらバンドはできないよね。そんな状態じゃ一緒にバンドやっても楽しくないし、楽しくないならバンドをやる意味はない。もしアンスラックスにいるのが楽しくないなら、俺はバンドを辞めて息子とスケートボードをやってるさ。バンドってのは楽しくないと絶対ダメだ! 俺はアンスラックスで長い時間を過ごしてきたけど、もし他のビジネスのほうが自分にとって楽しければそっちをやるね。

―すごく正直ですね。

だってバンドは楽しくないと。それぐらい俺はこのバンドでギターを弾くのが楽しいんだよ。

―では、ヒップホップとメタルをクロスオーバーさせ、のちの音楽シーンに多大な影響を与えた「Bring The Noise」(1991年)について話を聞かせください。当時、パブリック・エナミーと一緒にスタジオに入ったわけではなく、別々の場所でレコーディングをしたという話は本当ですか?

その通り。お互いのスケジュールが合わなかったんだよ。そもそも、チャックD(パブリック・エナミーのMC)は俺らがあの曲をカバーしようとしてることすら知らなかったんだ。俺の頭の中で曲をカバーするアイデアがあって、アンスラックスで『Persistence of Time』のレコーディングをしてるとき、チャーリーとフランキーに「こういうアイデアがあるんだけど」って話をして、その場で10分かそこらでリズムギターとドラムとベースを録って、そのテープをチャックに送ったんだ。



―たった10分で!

あれは1989年のことだったから、Eメールもインターネットもない。そんな時代だからクソみたいなカセットテープを郵送したんだ。で、送った後にチャックに電話して「ヘイ、アンスラックスバージョンの“Bring The Noise”を録ったんだけど、チャックとフレイヴァー(フレイヴァー・フレイヴ。パブリック・エナミーのメンバー)にも参加してもらいたんだ」って伝えたら、「OK、じゃあ、聴いたら電話するよ」って。でも、俺らはLAにいて彼らはNYのロングアイランドに住んでたから、届くのに1週間もかかった。で、1週間後にチャックから電話があって、「カッコいいけど俺らは既にこの曲を録ってるし、どうせなら一緒に新曲を作らないか?」って言うんだよ。だから、「うんうん、それもやるべきだね! だけど、この『Bring The Noise』も凄いから形にしないと!」って伝えたんだ。そしたら次の日にまたチャックから電話があって、「あれからずっと聴いてるんだけど、このトラックは凄いよ。スコット、一緒にやろう!」って言ってくれたんだ。

―非常に興味深いエピソードです。

だけど、彼らが所属してたデフ・ジャムはやりたがらなかった。当時彼らと一緒に仕事をしていたリック・ルービンも「チャック、“Bring The Noise”は一度録った曲なんだから新しいことをやりなよ」って言ったらしくて。さっきも言ったけど、もちろん俺らだって新曲をやりたかったよ? だけどそれよりも先にこっちをやるべきだと思ったんだよ。なぜなら俺らはこれがすごくいいってことがわかってたから。結局、チャックはレーベルが言うことを気にしないことに決めて、俺らと一緒にやってくれたんだ。あとは歴史のとおりだよ。

―チャックDとはどうやって知り合ったんですか? あなたは元々パブリック・エナミーのファンだったらしいですが。

俺の友達がデフ・ジャムで働いていて、パブリック・エナミーの作品をリリース前に聴かせてもらってすぐにファンになったんだ。その後、デフ・ジャムのオフィスでチャックと初めて会って友達になった。俺らはお互いのファンで、チャックもアンスラックスのファンなんだよ。

―今、もしヒップホップのアーティストとコラボするなら誰がいいですか?

それは分からないな。1995年以降、俺はラップを聴いてないから何も知らないんだ。でももしラップを誰かにやってもらうならチャックDしかいないね。彼は俺のオールタイムフェイバリットのラッパーだし、ヒップホップの歴史においても偉大なラッパーだからね。だから俺の意見としては彼以外とはコラボはしないよ。

―他のジャンルだったらどうでしょう。

誰かな……? 素晴らしいアーティストはたくさんいるからね。そうだな……レディー・ガガかな。彼女はすでにメタリカとコラボしてるけど、彼女の声はすごくいいよね。俺らがレディー・ガガとコラボするなら何かオリジナルなことがやりたいね。リック・ルービンがチャックDに言ったみたいに、「ヘイ、レディー・ガガ、何か新しいことやろうぜ!」って。アンスラックスの曲でもレディー・ガガの曲でもなくて、新しい曲をね。彼女の声はすごくメタル映えすると思うよ。

―いいアイデアですね。やりましょう!

彼女に言っといてよ(笑)。彼女はアンスラックスのファンだからね。あとはコリィ・テイラーもいいね! 彼は仲のいい友達だから、一緒にやったら絶対楽しいと思う。

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