レディー・ガガとケンドリック・ラマー、2019年アカデミー賞オリジナル・ソング部門の戦い

『メリー・ポピンズ リターンズ』より「幸せのありか(The Place Where Lost Things Go)」

新しい家の子どもたちを落ち着かせようとメリー・ポピンズ(エミリー・ブラント)が歌う優しいメロディのこの楽曲は、ベテラン作曲家マーク・シェイマンと作詞家スコット・ウィットマンによるものだ。シェイマンにとって今回が7回目のアカデミー賞へのノミネートであるのに対し(2019年の最優秀オリジナル・スコア部門にもノミネートされている)、ウィットマンにとっては今回が初めてだ。

シェイマンとウィットマンはトニー賞の受賞作『ヘアスプレー』、ブロードウェイ版『キャッチー・ミー・イフ・ユー・キャン』、『チャーリーとチョコレート工場』などの数多くの作品でタッグを組んできた。そんな2人は『メリー・ポピンズ リターンズ』で夢が叶ったと口をそろえた。「今までずっと映画にしたいと思っていたスタイルの音楽がようやく実現したんです」シェイマンは米エンターテイメント・ウィークリー(EW)に語った。「確かに私の楽曲は、今ではあまり耳にしなくなったスタイルの音楽です。でも、私ほどこの映画にふさわしい人物はいないんです。『なんでこの能なし野郎は俺の映画にメリー・ポピンズみたいな曲をのせようとしてるんだ』って、私とのスコアリングセッションから遠ざかっていった映画監督が今までたくさんいたと思います。そんな私に、ようやくメリー・ポピンズの楽曲を担当する機会がめぐってきたわけですから」。

『バスターのバラード』より「When A Cowboy Trades His Spurs for Wings」

ほろ苦さと茶目っ気を感じさせる、カントリー調の哀悼歌のような「When A Cowboy Trades His Spurs for Wings」は、コーエン兄弟の西部劇オムニバスシリーズの1作目を飾る『バスターのバラード』のガンファイトを美しく締めくくっている。ティム・ブレイク・ネルソンとウィリー・ワトソンが歌うこの楽曲は、長年のコラボレーターでカントリー界の大御所でもあるギリアン・ウェルチとデヴィッド・ロウリングスの共作だ。

米ヴァラエティ誌とのインタビューでウェルチは楽曲について、そしてロウリングスとともにコーエン兄弟から依頼を受けたときのことを語った。「オファーはかなり単刀直入でした。『2人のカウボーイが歌う曲がほしいんだ。カウボーイの1人は決闘で死んじゃうんだけど、昇天しながらデュエットするっていう曲にしたい。できるかな?』って。だから『そうですね……やってみましょう』と応えました。曲に不思議な制約を設ければ設けるほど、面白くなりますからね。そういう点では、夢のような課題でした」

Translated by Shoko Natori

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