『ボヘミアン・ラプソディ』監督の性的暴行疑惑を受け、ノミネート取り下げ

新たな性的暴行疑惑が浮上したブライアン・シンガー(Photo by Chelsea Lauren/WireImage)

ブライアン・シンガー監督をめぐる新たな性的暴行疑惑を受け、『ボヘミアン・ラプソディ』はGLAADメディア・アワードのノミネーションを取り下げられた。

ブライアン・シンガー監督に対する新たな性的暴行疑惑が浮上したことにより、『ボヘミアン・ラプソディ』は中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟(GLAAD)が主催する、GLAADメディア・アワード2019のノミネーションを取り下げられた、と米ヴァラエティ誌が報じた。米現地時間1月25日金曜日に同メディア監視団体が正式なノミネーションリストを発表する直前に事態が発覚した。

米現地時間1月23日水曜日、米ジ・アトランティック誌はいくつかの性的暴行疑惑の詳細と、問題となった事件の発生当時に未成年だったレイプ被害者たちの供述を暴露記事という形で発表した。今回の記事は、すでに公となっている過去の疑惑に加え、新たに浮上した疑惑を取り上げている。暴露記事には、2017年12月(『ボヘミアン・ラプソディ』の撮影も残すところあと2週間に迫るなかシンガーが監督を解雇された数日後)にシンガーに対して訴訟を起こしたシーザー・サンチェス=ガズマンと、2017年12月に米オンライン雑誌デッドラインにシンガーとの愛人関係を暴露したブレット・タイラー・スコペックのインタビューも含まれている。

「ブライアン・シンガー監督に対する新たな疑惑を受け、GLAADは本年度のGLAADメディア・アワード最優秀長編映画部門における『ボヘミアン・ラプソディ』をノミネート作品から取り除くという苦しい決断にいたりました」と同団体はヴァラエティ誌にコメントを発表した。

「ジ・アトランティック誌の記事に対するシンガー氏の反論は、性的暴行疑惑をはぐらかすために『同性愛嫌悪』を不当に利用したものです」とGLAADのコメントは続いた。「GLAADとしては、性的暴行被害の生存者こそが最優先されるべきで、その存在を軽んじてはならないことをメディアおよび関係者の皆様に向けて提唱します」

「ジ・アトランティック誌がジャーナリズムにおいてここまで低い誠意しか持ち合わせていないことを遺憾に思います」とジ・アトランティック誌の記事の公開を受け、シンガーは弁護士を介してローリングストーン誌に述べた。「繰り返しになるが、今回の報道は、金のためや注目を集めたいためだけに、人気のない出演者たちが起こした以前の偽の訴訟を焼き直したものだ。ボヘミアン・ラプソディが映画賞を受賞するほどのヒットとなっているこのタイミングで、このような中傷記事を出して注目を浴びようとすることに何の驚きもない」。

新たな疑惑が浮上しても、シンガーはミレニアム・フィルムズによるリメイク版『レッドソニア』の監督を務め続ける予定だ。

「今も私は『レッドソニア』に取り組んでおり、ブライアン・シンガーもスタッフの一員として残る予定です」とプロデューサーのアヴィ・ラーナーは米ハリウッド・レポーター誌に述べた。「『ボヘミアン・ラプソディ』が8億ドル(約877億円)以上もの興行収入を上げ、映画史上もっとも高い総収益を得た事実は、シンガー氏がすばらしい理念と洞察力の持ち主であることを証明しています。私は計画的なフェイクニュースと現実の違いを心得ていますので、今回の決定には非常に満足しています。アメリカでは、有罪と立証されない限り、人は無実なのです」


Translated by Shoko Natori

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