Sik-K、HAONら韓国「H1GHR Music」日本初ショーケース、終演直後の独占コメントも

「H1GHR Music Records in TOKYO 2018 Presented by lute」の模様(Courtesy of H1GHR Music Records, Leo Iizuka )

ライター鳴田麻未による連載「Asian Groove」。今回のvol.2は大盛況のH1GHR Music日本初ショーケースをレポートした。

インターナショナルヒップホップレーベル・H1GHR Music Recordsの日本初となるショーケースイベント「H1GHR Music Records in TOKYO 2018 Presented by lute」が2018年11月23日に東京・渋谷のWWWにて開催された。詳細レポートと、終演直後に出演者全員に聞いたミニインタビューを独占公開。

H1GHR Music Recordsは、韓国のヒップホップシーンを牽引するトップレーベルの一つ。JAY-Z率いる「Roc Nation」とアジア系アメリカ人として初めて契約したJay Parkと、Jay Parkの幼なじみであり長年のコラボレーターでもあるCha Cha Maloneによって2017年に設立された。今回のショーケースには、同レーベルの主要メンバーである、Woodie Gochild、HAON、pH-1、Sik-Kの4人が出演。Sik-K以外は初来日という貴重な機会とあって、1万4500円のVIPチケットも含め前売は完売となった。

客層は20代女性が中心で、1〜2割ほど男性の姿も。ライブは全編H1GHR Music所属のDJ・DJ SMMTのサポートで進行した。全体を通して印象的だったのは、とにかく1曲が短くメドレー並みに流れが早かったこと。3分超えの曲は珍しいくらいだった。また、ウーファーの効いたサウンドは、ローはもちろんのこと中域のビートすら腹に響き、原曲たちのボトムの太さも体感できた。

トップバッターは「SHOW ME THE MONEY」シーズン6出演で名を上げた1996年生まれの新鋭・Woodie Gochild。鮮やかな赤髪に「Fuck」と書かれたロゴのトレーナーという出で立ちで、「Hey, Put your hands up, Tokyo!」「こんにちは!はじめまして」と呼びかけると、フロアでは一気にスマホが掲げられる。2018年に発表した初EP「#GOCHILD」からの楽曲を中心に、腹にズンと響くロービートに負けない堂々たるラップを披露。観客の呼びかけに応じて何度も「コマウォ(ありがとう)!」と返し、 「気持ちいいです。かっこいいです。かわいいです」と覚えてきた日本語を連発するなど、親しみやすいキャラクターも垣間見えた。

続いては、ラッパーを目指す高校生を対象にしたサバイバル番組「高等ラッパー2」で優勝したレーベル最年少メンバーのHAON。英語中心でシャイに話す姿に「かわいい」という声が漏れ聞こえるも、その直後の「HAON Cypher」や「팀대표」では語気の強いフロウで聴衆を圧倒。高速でも全く乱れないリズムキープ力には目を見張った。キャッチーでポップな曲調の「LOVE! DANCE!」や、名前のローマ字表記を逆から読んだ勝負曲「NAOH」を含め、そのギャップに惹きつけられ人気の理由を見た気がした。

次は韓国系アメリカ人のpH-1。1989年生まれで2016年デビューという遅咲きのラッパーで、アメリカでWeb開発者として働いていたという異色の経歴の持ち主でもある。1曲目の「Wavy」からコール&レスポンス完璧なオーディエンスに「すごい!」と目を丸くする。メモ帳を手に「僕はpH-1です。会いたかったです。皆さん大好き。盛り上がっていきましょう」と愛くるしい表情で話す彼の楽曲は、他のラッパーのように攻撃的な歌詞ではなく、自身の経験や考えを肯定的に表現したものが多い。そんな特徴が表れている「Hate You」や「Donut」では大きなシンガロングが沸き起こった。

Sik-Kはこれまで何度か日本でライブを行っているが、今回はレーベルとして初めての来日ライブ。認知度の高さはこの日随一で、最も歓声が大きかったのも彼。冒頭から「フォー!」と雄叫びを上げ、フロアのテンションを窺うのではなく振り切ったパフォーマンスを展開する。突然だが、筆者が韓国ヒップホップに魅力を感じるのは「RING RING」のような曲があるからだ。極限まで削ぎ落としたアコースティックな生音に声量抑えめのラップを乗せた、チルアウトチューンでありながらアンセミックな曲。ささやくようなラブソングをみんなで合唱する光景は、日本人の私には新鮮に映る。この曲を終えたSik-Kは、「カッコイイ?」「カワイイ?」「マジ卍?」とフロアから飛んでくる声を確認するようにおうむ返し。おちゃめな一面とは裏腹に「너의밤」での力強い咆哮は圧巻だった。


Courtesy of  H1GHR Music Records, Leo Iizuka

いよいよ最後のパートへ。「YeLowS Gang」でペットボトルの水を勢いよくフロアにぶちまけたのを合図に、出演者全員の合同パフォーマンスが始まった。4MCは乱れ飛びながらハイテンションのマイクリレーを繰り広げ、「H1GHR!」「Music!」とコール&レスポンスを煽る。前方のファンのスマホを取って自撮りしたり4人固まってポーズを取ったり、といったファンサービスも満載。それぞれ見た目やパフォーマンススタイルは全く異なるが、肩を組み合ってとても仲の良い関係が窺える。MCコーナーでは、Sik-Kが「一蘭ほんとにおいしい」と言えば、口々に「焼肉!」「カレー!」などジャパニーズグルメの話題で持ち切りだった。


Courtesy of  H1GHR Music Records, Leo Iizuka

約30分にわたる合同パフォーマンスの中で、特に沸いたのは本編ラストで披露したHAON feat. Sik-Kの「Boong-Boong」。続いてSik-K feat. Crushの「Party(SHUT DOWN)」、pH-1, Kid Milli & Loopyの「Good Day」といった人気客演曲の連続に内は狂喜乱舞となる。4人は「楽しかったよ。またねー!」と充実した表情を浮かべて2時間40分の宴に幕を下ろした。

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