デュア・リパが語る、2019年の「ニュー・ルール」

ロンドンが生んだポップ界のプリンセス、デュア・リパ(Bryan Derballa for Rolling Stone)

ロンドンが生んだポップ界のプリンセス、デュア・リパが、ブレイクまでの道のり、グラミー賞ノミネート、そして世界が待ち望むセカンドアルバムについてローリングストーン誌に語ってくれた。

デュア・リパの2019年の目標、それはただひとつだ。「新しいアルバムを出せるよう、ベストを尽くすこと。今年の目標はそれに尽きるわ。みんなに楽しんでもらえるような作品を完成させるまで、スタジオにこもるつもり」

それはまさに、今の彼女に求められていることだ。「ニュー・ルールズ」や「IDGAF」等、まばゆいディスコサウンドで世界中のリスナーを虜にしてみせたポップ界のプリンセスは、恋人との別れを乗り越えて前に進んでいく逞しい女性の姿を歌にする(「彼を忘れたいのなら、彼と寝ちゃだめ」というフレーズは彼女らしいパンチラインだ)。彼女は今年のグラミー賞で、最優秀新人賞、そして最優秀ダンス・レコーディング賞(「エレクトリシティ」)の2つでノミネートされている。瞬く間に頂点に上り詰めた彼女だが、あくまで自然体でいることを心がけているという。「本当の自分をさらけ出せば、きっとリスナーの心に届くと思う。私自身、そういうものに感化されてきたから」

デュア・リパが23歳にしてスターダムを駆け上がったことは、決して予想外の出来事ではなかった。彼女は幼い頃から、常に自信に満ち溢れていた。彼女のアルバニア人の両親は、コソボでの紛争から逃れるため、難民としてロンドンに移住してきた(彼女の名前はアルバニア語で「愛」を意味する」)故郷のコソボでは有名なロックスターだった父親の影響で、幼い頃からデヴィッド・ボウイやレディオヘッドに親しんだという彼女は、一方でピンクやネリー・ファータドといったポップスターにも夢中だったという。そして11歳の頃、両親とともにコソボの首都プリシュティナに戻った彼女は、そこで初めてラップと出会ったという。「コソボの人はみんなヒップホップを聴いてた。ロンドンで暮らしてた頃はポップやブリティッシュロックを聴いてたけど、私が初めて行ったコンサートはメソッドマンとレッドマンなの。プリシュティナに来てくれたのは彼らだけだったから」自身のルーツはヒップホップだと彼女は断言する。「私がやってるのはポップかもしれないけど、アルバムにはいろんな音楽の影響が現れてると思う。でもやっぱり、一番大きいのはヒップホップ。私はいろんなサウンドや感情が入り混じったものを作りたいの」



15歳の頃、彼女はアリシア・キーズやクリスティーナ・アギレラのバラードを歌った動画をYouTubeに投稿し始めた。彼女はデビューアルバムの制作に何年も費やしたが、「ニュー・ルールズ」の作詞には関与していない。しかし、その内容は自身の思いと見事に重なったという。「あの曲で歌われてるルールって、普段私が友達と話してるような内容とまったく同じなの。たとえばドレイクって、みんなが思ってるようなことをリリックにしてるじゃない?そういうのを聴くと、『私も思ってたのに!曲にしとけば良かった!』なんて思うのうよね」母国で成功を収めた後、彼女はアメリカでもブレイクを果たした。「あの曲は、この世界で成功を収めることの難しさを実感させてくれた。ストリーミングが全盛の今は、音楽がより身近なものになってると思う。その一方で、曲が大きな流れに乗って人々のところに届くまでには、いろんな努力や時間を要するの。「ニュー・ルールズ」は、私の音楽を世界中の人々に届けるための起爆剤になってくれた。あれ以来、状況が目まぐるしく変わっていったわ」

昨年はツアーで世界中を巡りながらも、彼女はセカンドアルバムの制作に絶え間なく取り組んでいた(ロバート・ロドリゲス監督のアクション映画『アリータ:バトル・エンジェル』のテーマ曲として発表された新曲「スワン・ソング」も収録予定だという)。彼女はシーンを賑わしている音楽には、常に注意を払っているという。「ロザリアが大好きなの、すごく革新的な存在だから。自分のルーツとエレクトロニックミュージックを見事に融合させていて、まさに唯一無二の存在だと思う。他にはカミラ・カベロとカーディ・Bも大好き。あと最近『ボヘミアン・ラプソディ』を観たんだけど、ラミ・マレックの演技が素晴らしかったわ」

歴史あるグラミーでのノミネートは、やはり特別に感じると彼女は話す。「尊敬する逞しい女性アーティストたちと同じ舞台に立てることに、やっぱり興奮してるわ。特に今年の最優秀新人賞候補は大半が女性で、その1人になれたことをすごく誇りに思ってる。音楽業界における女性への意識が大きく変わりつつある今は、まさに節目の時期だって感じてるから」

彼女は大きな成功を収めたが、まだ守りに入るつもりはなさそうだ。「次のアルバムには、私の多様な音楽的好奇心が反映されることになるわ」彼女はそう話す。「いろんなスタイル、いろんな感情を同居させたいの。すごくハッピーでずっと曲を書いていたいような日もあれば、そうじゃない日もある。人生は思い通りにいかないことの方が多いけど、そういう時にこそ曲のインスピレーションを感じたりするのよね。難しい状況にあっても、必ずどこかに活路があるはず。私は低いキーを歌うことにかけては自信があるけど、高音のヴォーカルはもっと磨かないとって思ってるの」

Translated by Masaaki Yoshida

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