米国で予防接種を受けていない子どもの数が4倍に急増、世界保健機構が警告

世界保健機構(WHO)は、2019年に世界の健康を脅かす監視対象として、ワクチン反対・躊躇の傾向を挙げた。(Photo by Shutterstock)

世界保健機構(WHO)は、世界の健康を脅かす恐れがあるとして、2019年の監視および対策すべき対象の10項目の1つに、ワクチン反対派の人々を挙げた。

WHOはWEBサイトで、ワクチン接種を躊躇する動きは「ワクチンによって病気を予防するという予防接種の進歩を逆行させる恐れがある」と発言。WHOによれば、ワクチンのおかげで年間200~300万人の命が助かっているが、世界の予防接種率が向上すれば、さらに150万人の命が救えるという。

WHOは反ワクチン派がもたらす危険性のひとつとして、世界ではしかの発症件数が30パーセント増加している点を指摘。はしかの発症がすべてワクチン未接種によるものだとは結論づけていないが、はしかがほぼ絶滅したいくつかの国々でも再び感染が広がっているという。

「人々がワクチンを拒む理由は様々です。WHOのワクチンに関するアドバイザリーグループでは、ワクチンに消極的な主な理由として、受診者の過信や予防接種が受けにくい環境、ワクチンに対する信用度の欠落を挙げています」とWHO。「予防接種の受診を決める上で、健康医療従事者、特に地元のヘルスワーカーは信頼できる助言者として影響力を持っています。彼らを支援し、ワクチンに関する確かな情報を提供していかなくてはなりません」

昨年10月、疾病管理センターが発表した報告書によると、アメリカで予防接種を受けていない幼児の数は2001年から2015年までの間に4倍に急増。これにより、アメリカでもこの数年はしかが急激に蔓延し、2018年には100人に1人が感染する事態となったと、USA Today紙は報じている。

研究によれば、保険に加入していない、あるいはメディケイド(低所得者向けの医療保険制度)を受給している子どものほうが予防接種を受けない傾向にあることが分かっている。両親が自閉症とワクチンの因果関係を懸念しているために予防接種を受けていない子供も相当数にのぼるという。ただし疾病管理センターでは、自閉症とワクチンの間に関連性はないとしている。

Translated by Akiko Kato

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