キング・クリムゾンがストーンズの前座を務めた50年前のライブを回想

50周年を迎えた、キング・クリムゾン

英・ハイド・パークでの巨大フリー・ギグは「世界のステージへの第一歩だった」と、キング・クリムゾンのギタリストでありリーダーのロバート・フリップは後に語っている。ちょうど50年前の1月13日、プログレッシヴ・ロックの名曲『21世紀のスキッツォイド・マン』を披露した映像を振り返る。

祝50周年、キング・クリムゾン! バンドの公式サイトでも明らかにされているように、ちょうど50年前の1969年1月13日は、伝説のアヴァンギャルド・ロック・グループが初めてリハーサルを行った日。そして翌年、バンドは旋風を巻き起こすこととなる。グレッグ・レイク(ヴォーカル兼ベース)、ロバート・フリップ(ギター)、マイケル・ジャイルズ(ドラム)、イアン・マクドナルド(木管楽器)、さらに作詞と照明・音響を担当するピーター・シンフィールドというオリジナル・ラインナップが1969年1月13日、ロンドンのフラム・パレス・ロード・カフェに集結。同年後半にはアルバム『クリムゾン・キングの宮殿』をヒットさせた。しかし12月16日のフィルモア・ウエストでのライヴ後間もなく、オリジナル・ラインナップは分解してしまう。

その間バンドは、全ての若いバンドが羨むステージへの出演を果たしている。1969年7月5日、ザ・ローリング・ストーンズによるハイド・パーク・コンサートの前座を勝ち取ったのだ。ライヴ経験がわずか7回目というキング・クリムゾンが、ストーンズの2年以上ぶりのライヴを楽しもうと集まった何十万人ものオーディエンスの前に立った。今ではごく短時間のビデオ・クリップで、とても重要な日のステージで名曲『21世紀のスキッツォイド・マン』をプレイするバンドの姿を観ることができる。(全ライヴの録音は、2002年にリリースされたキング・クリムゾンの『コレクターズ・クラブ』シリーズで聴くことができる。)

ビデオ映像は粗くブレているものの、酒や薬をキメてシミーを踊る人々や電柱によじ登る危なっかしい人などウッドストック風の大規模なお祭り騒ぎの様子や、バンドがプレイする音楽の異様さを感じることができる。サクソフォンがアクセントになったキング・クリムゾンの奏でるアート・メタルが、彼らを初めて経験するオーディエンスにどう受け止められたかを想像するのは楽しい。

グループのリーダーで唯一のオリジナル・メンバーであるロバート・フリップにとって、ハイド・パークでのライヴは、その後の全ての基礎となった。「キング・クリムゾンは当時流行りのバンドだと思われていた」とフリップは、姉のパトリシアが主催するトークショーで、ハイド・パークでのライヴを振り返った。「ヨーロッパやアメリカから多くの人々がローリング・ストーンズの復活コンサートを観るために集まっていた。彼らは家に帰ってから“お勧めの新しいバンドがある。キング・クリムゾンっていうんだ”と評判を広めてくれた。そういう意味では、ハイド・パークは世界のステージへの第一歩だった。」

50年の間に数え切れないほど多くの変身を遂げてきたバンドは、今なお前進し続けている。先月、3年ぶりとなる来日で、8人体制による日本ツアーが敢行されたばかり。マイルストーンとなる2019年には、新たなドキュメンタリーが公開されるほかに50日間のツアーも予定され、バンドにとって特に忙しい年となるだろう。



Translated by Smokva Tokyo

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