ルカ・グァダニーノ監督が語る『サスペリア』とトム・ヨーク、1977年のベルリンとボウイ

ルカ・グァダニーノ監督(©2018 AMAZON CONTENT SERVICES LLC All Rights Reserved)

ダリオ・アルジェント監督による伝説のホラー映画を、『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督が再構築した『サスペリア』が1月25日(金)より全国ロードショーされる。レディオヘッドのトム・ヨークが劇伴を担当。「人間の身体が、本来あるべき方向とは違う方向へ曲がってゆく感覚に襲われる」とローリングストーン誌も評し、衝撃的すぎる内容に賛否両論が巻き起こった本作について、グァダニーノ自身が語ってくれた。

―新しい『サスペリア』はダリオ・アルジェント監督のオリジナルと設定がかなり異なっていますね。舞台がクラシック・バレエの学校からよりモダンなダンスの学校に変更されていたり……。

グァダニーノ:そうだね。オリジナル版のレプリカを求める人は、新しい『サスペリア』を気に入らないかも知れない。ダンスは言語であり、黒魔術も言語だ。2つの言語を絡ませることで、興味深いものが生まれると考えた。ダンサー達の人間関係にも魅力を感じたし、その部分を強調したかった。ダリオの映画では、実はバレエのシーンそのものはきわめて少ないけど、私はダンスを物語のひとつの軸にしたかったんだ。それにはより肉体の欲求が噴出する、モダンなダンスが相応しいと感じた。

―アルジェントの『サスペリア』は極彩色のヴィジュアルがインパクトを持っていたのに対し、あなたのヴァージョンは灰色のベルリンの壁や曇り空など、モノトーンを基調としていますが、そんなコントラストは意識したものですか?

グァダニーノ:2本の映画の違いについて会話を続けることは出来るけど、それは不毛だと思う。私の『サスペリア』はダリオの『サスペリア』を模倣したものではないし、また否定するものでもないからね。私は2本の映画が、それぞれ独立して存在することを願っている。私の『サスペリア』がダリオのようにカラフルでないのは、彼の『サスペリア』と比較するためではない。単に自分としての表現をしたかったからなんだ。

―あなたの『サスペリア』は“リメイク”“再構成”“再解釈”のどれに当たるでしょうか?

グァダニーノ:どれでもない。“ルカ・グァダニーノの映画”だよ。


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―『サスペリア』以外で、もし既存の映画作品を“ルカ・グァダニーノの映画”化するとしたら、候補はありますか?

グァダニーノ:いや、幾つもの候補の中から『サスペリア』を選んだわけではなく、最初から『サスペリア』を作ることだけを考えていたよ。もし権利を獲れなかったとしたら、別のプロジェクトをやっていただろう。

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