―あなたの『サスペリア』では極左テロ組織のドイツ赤軍/バーダー・マインホフが重要な位置を占めていますが、それはどんな意図があったのですか?グァダニーノ:魔女の集会と、外界の社会不安と抑圧を重ね合わせたんだ。ダリオの『サスペリア』が公開された1977年という時期を舞台にしたことで、すべてがピッタリはまった。
―『サスペリア』を作るにあたって、黒魔術やサバトを研究しましたか?グァダニーノ:イタリアの歴史家カルロ・ギンズブルグの著作を読んだり、それなりの研究はしたよ。ただ、必ずしも正統な儀式のしきたりを踏襲はしていない。
©2018 AMAZON CONTENT SERVICES LLC All Rights Reserved
―10歳のときに『サスペリア』のポスターを見かけて、それ以来魅了されてきたと語っていますが、どんなホラー映画から影響あるいはインスピレーションを受けてきましたか?グァダニーノ:1970年代のホラー映画が好きなんだ。それとデヴィッド・クローネンバーグはいつの時代の作品も大好きだよ。彼の作品はすべてが最高だ。彼は駄作を作ったことがない。全作品が傑作だ。彼の最新作『マップ・トゥ・ザ・スターズ』は直接的なホラー描写やモンスターが出てこなくても、ハリウッドを舞台にしたホラー・ストーリーだよね。
―(グァダニーノ監督が生まれ育った)イタリアには豊潤なホラー映画の歴史がありますね。グァダニーノ:もちろんダリオ・アルジェントの作品は大好きだ。他にもいろいろ好きなものはあるけど、具体的なタイトルは浮かばないな。ルチオ・フルチの作品も見たし、とても気に入っているよ。
―イタリアでは数多くのホラー映画の名作が作られてきましたが、時に“ジャーロ映画”と偏見を持たれたり、低く見られたりもしてきました。『君の名前で僕を呼んで』でアカデミー賞候補となったあなたが“ジャーロ映画”を作った!?と驚きの声もありましたが……。グァダニーノ:「俺はアカデミー賞ノミネート監督様だ」なんて天狗になるぐらいなら、ビルの屋上から飛び降りるよ。そんなことより、自分の作りたい映画を作る方が重要だ。