ルカ・グァダニーノ監督が語る『サスペリア』とトム・ヨーク、1977年のベルリンとボウイ

―あなたの『サスペリア』では極左テロ組織のドイツ赤軍/バーダー・マインホフが重要な位置を占めていますが、それはどんな意図があったのですか?

グァダニーノ:魔女の集会と、外界の社会不安と抑圧を重ね合わせたんだ。ダリオの『サスペリア』が公開された1977年という時期を舞台にしたことで、すべてがピッタリはまった。

―『サスペリア』を作るにあたって、黒魔術やサバトを研究しましたか?

グァダニーノ:イタリアの歴史家カルロ・ギンズブルグの著作を読んだり、それなりの研究はしたよ。ただ、必ずしも正統な儀式のしきたりを踏襲はしていない。


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―10歳のときに『サスペリア』のポスターを見かけて、それ以来魅了されてきたと語っていますが、どんなホラー映画から影響あるいはインスピレーションを受けてきましたか?

グァダニーノ:1970年代のホラー映画が好きなんだ。それとデヴィッド・クローネンバーグはいつの時代の作品も大好きだよ。彼の作品はすべてが最高だ。彼は駄作を作ったことがない。全作品が傑作だ。彼の最新作『マップ・トゥ・ザ・スターズ』は直接的なホラー描写やモンスターが出てこなくても、ハリウッドを舞台にしたホラー・ストーリーだよね。

―(グァダニーノ監督が生まれ育った)イタリアには豊潤なホラー映画の歴史がありますね。

グァダニーノ:もちろんダリオ・アルジェントの作品は大好きだ。他にもいろいろ好きなものはあるけど、具体的なタイトルは浮かばないな。ルチオ・フルチの作品も見たし、とても気に入っているよ。

―イタリアでは数多くのホラー映画の名作が作られてきましたが、時に“ジャーロ映画”と偏見を持たれたり、低く見られたりもしてきました。『君の名前で僕を呼んで』でアカデミー賞候補となったあなたが“ジャーロ映画”を作った!?と驚きの声もありましたが……。

グァダニーノ:「俺はアカデミー賞ノミネート監督様だ」なんて天狗になるぐらいなら、ビルの屋上から飛び降りるよ。そんなことより、自分の作りたい映画を作る方が重要だ。

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