米アリゾナ州で14年間昏睡状態の女性が出産

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一時的にせよ、半永久的にせよ、昏睡状態での妊娠は、(昏睡状態または脳死状態下で性的暴行を受けた場合も含め)極めて稀なケースではあるが、決して前例がないわけではない。2015年、アルゼンチンのスペイン語の報道機関が伝えたところでは、今回と似たケースとして、昏睡状態の女性が性的暴行を受け妊娠させられた。だが、患者の家族が告発しなかったため、警察の捜査は行われなかった。

早まった性的行為の合法性はさておき、昏睡状態での妊娠は医学的危険性を伴うだけでなく、患者の家族に複雑な倫理的問題を突きつけることになる。

「満期分娩することは可能ですが、それも妊娠がどこまで進行しているかによります」と2015年、WebマガジンViceとのインタビューで生物倫理学のアーサー・キャプラン氏は語っている。「妊娠28週なら帝王切開も可能です。ですが妊娠2週間程度ですと、胎児を傷つける危険性があるのでどの病院も避けるでしょう」

だが2001年、まさにそうした事態が起きた。自動車事故で重傷を負い、昏睡状態でシンシナティの病院に入院していたチャスティティ・クーパーという患者が、妊娠2ヶ月であることが病院医師によって判明した。医師は昏睡状態の患者に麻酔を施す危険性を考慮して、帝王切開手術を断念。妊娠満期で、経腟分娩により出産した。

1995年には、「キャシー」という名の女性が10年間昏睡状態にいたが、ニューヨークの介護施設で介助人からレイプされ、妊娠した。発覚した時はすでに妊娠4か月。だがローマカトリック教徒の家族は堕胎に反対し、満期分娩を選択した。キャシーは男の子を出産した後、まもなく死亡。この件を受けて1998年に「キャシー法」が制定され、看護師の経歴チェックが義務付けられるようになった。

フェニックスの女性患者の家族は、当面は公の場での発言を拒んでいるが、家族の弁護人はハッフィントンポストとのインタビューにこう答えた。「家族は、ハシエンダ・ヘルスケアに入院中の娘が、暴行を受け、蔑ろにされていた事実に怒りをあらわにするとともに、大変傷つき、衝撃を受けています・・・(家族に代わりまして)ご報告いたしますが、生まれた男の子はすでに愛情あふれる家族に引き取られ、大切に育てられていくことでしょう」。

Translated by Akiko Kato

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