フェイクニュースが拡散される原因は何か?

フェイクニュース問題は、とある研究がかつて指摘したような単純なものではない。(Photo by Omar Marques/SOPA Images/LightRocket/Getty Images)

2018年、「フェイクニュース問題の原因は、ひとつのニュースが注目されるスパンの短さと情報過多な社会状況にある」という調査研究が発表された。ところが実際はそう単純なものではない、とする意見もある。

2018年、Journal of Human Behaviorに、フェイクニュースがソーシャルメディアを賑わす原因について研究した論文が掲載された。同研究結果は米国では多くの報道機関で取り上げられ、広く話題を呼んだ。しかしその後、同研究の分析過程での誤りが明らかになり、結局論文は取り下げられた。

取り下げられた研究では、「フェイクニュースが拡散される原因は、ひとつのニュースが注目されるスパンの短さと情報過多な社会状況にある」と結論付けようとしていた。結論を導き出す過程で研究者たちは、フェイクニュースもリアルなニュースと同様にシェアされるような複数のSNSから得た経験的データと(インディアナ大学で情報・コンピュータ科学を担当するFilippo Menczer教授は、ローリングストーン誌に“疑いのない事実だ”と強調した)、さまざまなファクターに合わせてコントロール可能なソーシャルメディアサイト上に研究者自身が作った簡易モデルとを比較した。

結果を導くために構築した簡易モデルを使って現実の数字を再現できる、という前提が誤っていたため、「フェイクニュースが拡散されるのは、ひとつのニュースが注目されるスパンが短いためで、必ずしも無関係なボットプログラムが特定のニュースを拡散していることなどが原因ではない」との結論を導いてしまった。2018年春、研究結果を再現しようとした過程で研究者たちは誤りに気付いた。ニュースへの注目スパンと情報過多は、彼らの作ったモデルネットワーク上を流れるフェイクニュースには影響を与えるものの、実社会におけるリアルニュースとフェイクニュースの拡散状況を左右するまでには至らないことが判明した。研究者たちはすぐさま掲載したジャーナルへ報告。ジャーナル側は訂正文を出すか撤回するかを決断するまでに約1年かかり、結局2019年1月7日、記事を取り下げた。

「私にとってとても恥ずべきことだが、間違いは起き得る。もちろん誤りが発覚した時には正さねばならない」とMenczer教授はローリングストーン誌に語った。「我々の研究は、ニュースへの注目スパンの短さが、質の低い情報の拡散に一定の役割を果たすことを示した。しかしながら、“一定の役割を果たす”ことが、即ちある事象の原因を全て説明するものではない、ということだ。つまりたくさん存在する要因のひとつでしかない。」

教授はまた彼のチームが、特にボットを含むその他の要因を明らかにする新たな研究に取り組んでいることを明らかにした。

「我々は、ボットプログラムが拡散を増幅する上でとても重要な役割を果たし得ることを発見した」と教授は言う。特に質の低い情報が拡散される時に、ボットの存在が認められるからだという。

Menczer教授はさらに、フェイクニュースの拡散を測るために使用するメトリックが研究者によって異なるため、さまざまな結論へ行き着いている点を指摘した。「フェイクニュースの方がリアルニュースよりも早く、広く拡散する」という研究結果もあれば、「ソーシャルメディアの広い観点でなく個人の行動傾向に着目すると、フェイクニュースをシェアする行為は一般的な習性とは言えない」と主張する最新の研究もある。これら研究を行っている独立系研究者のみならずソーシャルメディア運営企業も、引き続きフェイクニュースが“なぜ”、“どのように”拡散しているかを明らかにし、どうすれば食い止められるかを模索している。

Translated by Smokva Tokyo

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