【独占取材】オジー・オズボーンが語る、自分のことを笑えるヤツは強い説

―先ほど、ストリーミングでザ・ビートルズを聴くことがあるとおっしゃっていましたが、彼らからの影響について教えてください。

当時、イギリスは第2次世界大戦が終わったばかりで、不幸な人がたくさんいてね。そんなある朝、ラジオをつけたらザ・ビートルズの「She Loves You」が聴こえてきたんだ。衝撃を受けたね! 「一体これはなんなんだ!」って。この世に生きる意味を見つけたような気分だったよ。それがきっかけで自分もミュージシャンになりたいと思うようになったんだ。そして、どういう経緯だったかは覚えてないけどブラック・サバスが生まれた。ギタリストのヤツと同じ学校に通っていて、神に導かれるかのようにバンドに入れ込むようになったんだ。

―ザ・ビートルズのメンバーとお会いになったこともあるかと思いますが、どのような印象を受けましたか?

ポール・マッカートニーを見たときは本当に緊張して一言もしゃべることができなかったよ。

―多くの人があなたに対して同じように感じていると思います(笑)。

それはわかってるよ(笑)。ひとつエピソードがあるんだけど、俺が「Dreamer」というバラードを作っていたとき、レコーディング・スタジオにいたエンジニアが「君のレコーディングが終わったあと、誰が来るか知ってる?」って聞いてきたんだ。「知らない」と答えたら、「ポール・マッカートニーだよ」なんて言うもんだから、一生のお願いだからポールに「Dreamer」でベースを弾いてくれるように頼んでくれって伝えたんだよ。そして、家に帰ってベッドに寝ころびながら「ポール・マッカートニーが自分のアルバムでベースを弾いてくれる……!」って興奮してたんだ。

―そのときの光景が目に浮かびます。

次の日、スタジオに行って、心配、興奮、そしてクレイジーな気分でエンジニアに「ポールはベースを弾いてくれた?」って聞いたんだ。そうしたら「いや、弾いてない」って言うんだよ。「どういうことだ!?」「元々録ってあった演奏を超えられないからって」「元の演奏なんてどうでもいいんだよ!」って。俺は彼が「べーンべーン」って何か適当に弾いてくれたなら、もうそれだけで十分幸せだったのに。彼が元の演奏よりうまく弾けなかったというのは言い訳にはならない。そんなことは重要じゃなくて、ポール・マッカートニーが俺のアルバムで演奏しているという事実だけで、もう死んでもいいぐらいの気持ちだったんだ。


Photo by Yuri Hasegawa

―それは残念でしたね。

それから半年後、ニューヨークのラジオ局で彼と会ったんだけど、彼は本当に素晴らしくて、とてもいい人だったよ。俺の娘が時々彼と会うことがあるらしいけど、10代の頃にはまさか自分がポール・マッカートニーと会って、しかも自分の子供まで彼と会うことになるなんてまったく想像していなかったよ。

Translated by Beverly Eri

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