【独占取材】オジー・オズボーンが語る、自分のことを笑えるヤツは強い説

―先ほどおっしゃっていたように、あなたは50年近く活動を続けていますが、これまでのキャリアでもっとも困難だった出来事はなんですか?

今、俺が最も恐れていることの一つは、昔と比べて新しいレコードを作るのにどんどんお金がかかるようになってきていること。もう誰もレコードを買わないからな。レコードが存在しないときがくるなんて思いもしなかったよ。

―今やストリーミングが当たり前になっていますよね。

これまでとはまったく違うね。ヒットするバンドをいち早く見つけられるようにはなったかもしれないけど、ヒットするバンドをゼロから生み出すことはもはやできない。この業界は音楽を捨て去ってしまったようだ。エレベーターミュージック(ホテルやデパートのエレベーター内で流れるような取るに足らないBGM)だよね。業界にはまだ良心的な人もいるけど、ロックミュージックと同様、そこに魂と心はほとんどない。まるで工場だよ。

―なるほど。

業界は一つ盛り上げたらすぐにそれを捨て去って、次へと移っていく。エルトン・ジョンのバンドに参加している友人がいるんだけど、彼が嘆いてたよ。「僕らがいなくなったらいったい誰が後を引き継ぐんだ?」って。もうすべてはストリーミングだからな。ロボットみたいなものだ。

―わかります。

俺は1968年にレコード作りを始めたけど、それは苦痛の始まりでもあった。ヴァイナルを切って、いくつも曲を作ってきた。俺の周りには「自分のスタジオを作るぜ!」なんて言っている奴が今でもいるけど、自分にはもうそんな余裕はない。なぜならリスナーは「(具体的な曲名ではなく)2曲目が好きだぜ!」って感じだからな。ただ、俺もストリーミングで音楽を聴くことはあるんだよ。例えば、ザ・ビートルズ! でもさ、ストリーミングで音楽を聴くことへの誘惑があるのは自分でも使ったことがあるからわかるけど、そこから何か得るものがあると思う? 何もないだろ。今、唯一可能性があるのはライブコンサートだね。今もどんどん数が増えているし。


Photo by Yuri Hasegawa

―あなたがツアーに注力しているのはそれが理由ですか?

いや、ここ数年新しいレコードを作ってないから、オーディエンスは俺の新しい曲を聴くことができないだろ? でもみんなのことは楽しませたいじゃないか。一方、ツアーをやっていると疲れ切って休みを取りたくなることもある。愛憎入り混じる関係だよ。

Translated by Beverly Eri

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