ルーファス・ウェインライトが語る初期2作の軌跡、LGBTQを巡る変化とトランプ政権への回答

1998年のルーファス・ウェインライト(Photo by Catherine McGann/Getty Images)



―セットは2部構成で、セカンド『ポーゼズ』のセクションはオリジナル盤をほぼそのまま再現していますが、ファーストのセクションでは順番を変えたり、曲を入れ替えたりしています。セットを構成する上での考えを教えて下さい。

ルーファス:2枚のアルバムを1本のライヴ・パフォーマンスで再現するにあたって、単純に2枚ともそのまま演奏するのは、つまらないような気がしたんだ。それに長過ぎるようにも感じて、少し手を加えることに決めたのさ。だから、第1部は基本的に『ルーファス・ウェインライト』をプレイするんだけど、比較的新しい曲も含めて、アルバムに入っていない曲を幾つか交えている。実はライヴ会場でしか購入できないニュー・アルバムがあってね。『Northern Stars』というタイトルで、ジョニ・ミッチェルやニール・ヤングやレナード・コーエンといったカナダ人アーティストの曲をカヴァーしているんだ。その中からジョニの曲「青春の光と影(Both Sides, Now)」をライヴでは披露していて、最近リリースした「Sword of Damocles」も第1部で歌っているよ。両方とも宣伝しないといけないから(笑)。その後、第2部が『ポーゼズ』なんだけど、こちらは一転してよりフォーマルで、MCもほとんど挿まない。アルバムを1枚の絵画作品として提示しているような感じだね。あれはまさにそういう作品だから。そんなわけで、1本のライヴ・パフォーマンスの中で多様なアプローチを試みていて、そこは自分でも気に入っているよ。

―アンコールのラストソングは毎晩ザ・ビートルズの「アクロス・ザ・ユニバース」のカヴァーです。映画『アイ・アム・サム』のサントラで歌った曲ですが、なぜこの曲をラストに?

ルーファス:理由のひとつは、ちょうど『ポーゼズ』と同じ時期にレコーディングした曲だからなんだけど、『アクロス・ザ・ユニバース』のすぐ前に歌うのは、「ゴーイング・トゥ・ア・タウン」なんだ。過去数年間のソロのライヴではたいてい、「ゴーイング・トゥ・ア・タウン」のあとは「ハレルヤ」という流れにしていて、どうもあの曲のあとには、より超自然的と言うか、幽玄なところがある曲が相応しいように感じるんだよね。「ゴーイング・トゥ・ア・タウン」は生臭いアメリカの政治に関する曲だから、宇宙全体に目を向けたスケール感のある曲を並べて、バランスをとっているのさ。



―セクションごとに着替えている衣装は、誰が手掛けたんですか?

ルーファス:僕の友人であるカナダ人のファッション・キュレーター、ティエリー・マキシム・ロリオが監修してくれたんだ。このツアーのアーティスティック・ディレクターなんだよ。数年前に世界各地を巡回して話題になった、ジャン=ポール・ゴルチエの展覧会『The Fashion World of Jean Paul Gaultier: From the Sidewalk to the Catwalk』でキュレーターを務めた人でね。色んなデザイナーと組んで衣装を構成してくれたんだけど、主にヴィクター&ロルフの服で、一部ヴィヴィアン・ウェストウッドの息子(ジョゼフ・コー)に提供してもらったものも含まれているよ。

―ルーファス・ワールドの構成要素を網羅した成長の記録『ルーファス・ウェインライト』、ニューヨークで過ごした20代のダイアリーのような『ポーゼズ』、これら2枚のアルバムと改めて向き合って、どんな感慨を抱きましたか?

ルーファス:実は想定していた以上に心理的なインパクトが大きくて、こんなはずじゃなかったのに……と、戸惑ってしまったよ(笑)。まずリハーサルを行なって、その時はただ楽しかったんだ。時代を遡って、曲によっては久しぶりに細かく聴き直したものもあったから、再考する作業には興奮させられたしね。ところがLAでツアーの初日を迎えた時、僕はものすごく感情的になってしまって、「初日だし、バンドと一緒にライヴをやるのも久しぶりだし、今LAで暮らしている僕にとって地元での公演だから、こんなに緊張して熱くなっているに違いない」と自分に言い聞かせたものさ。そうすることで気分が幾らか落ち着いて、それからアメリカ各地でプレイしているうちにだんだん慣れていって……。なのにニューヨーク公演の日を迎えると、またもや精神的にすっかり打ちのめされちゃったんだよ(笑)。というか、ライヴ自体は素晴らしかったんだ。でも僕はステージでずっと、何かを必死に探し求めている孤独な青年だったニューヨーク時代の自分の姿を、哀れなルーファス坊やが、色々あってセントラル・パークの中をとぼとぼ歩いている姿を頭に思い浮かべていて、それはもう強烈な一晩だったな。だからこうして過去のアルバムを辿るのは、間違いなく、非常にパワフルなプロセスだと言えるよ。

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