「ぼくらは第一世代」88risingのセン・モリモトが語るアジアと日本、アメリカの新しい繋がり

セン・モリモト(Photo by Scott Dudelson/Getty Images)



ー88risingにフックアップされることになったきっかけは?

モリモト:弟と一緒にミュージック・ビデオを作ったんだけど……あ、ちなみに彼もいま一緒に日本に来てて。ヴィジュアルをやってるんだ。で、作ったビデオをいろんな媒体に送ったんだ。どこかでプレミア公開できたらいいなと思ってさ。そしたら88risingのショーン(・ミヤシロ)が「気に入ったよ」と電話をくれたんだ。彼らはクールだよ、よくサポートしてくれてる。

ーどんなところが?

モリモト:ぼくはいま24歳だけど、音楽制作自体は長くやってきていて、長くやってきてるからこそなにがしたいか、やりたくないかっていうのが自分のなかでハッキリしてるんだよね。ぼくは自分の部屋で音楽をつくるのが楽しくて、価値があることだって思ってる。それをリスクに晒すようなマネはしたくないんだ。だから、簡単にレーベルとサインしようとは思わない。ごめん、ちょっと話が逸れすぎたね……。ただ、とにかく88risingはその点でもつきあいやすいんだ。すごくクリエイティヴだし、ややこしい契約抜きでサポートしてくれてるっていうのがあるから、自分のペースで楽しいことができてる。


弟のユーヤ・モリモトが監督した「Cannonball」のMV

ーそうなんですね。もちろん界隈で88risingについては話題になっているんですが、実際どのように機能しているのかってことは誰も知らなくて。具体的にはどのようなサポートをしてくれるんですか?

モリモト:ぼくらはアルバムをほとんど作り終えていて、ビデオも自分たちでつくったタイミングだったから、彼らはレコードのディストリビューションとかをしてくれて。そのあたりは通常のレーベルにお願いすることとそんなに変わらないと思うよ。でも、普通のレーベルとやり方が違うのは、彼らはレーベル専属のアーティストとしての契約をぼくらに結ばせたりしないってところ。もっと集合体(コレクティヴ)って感じで、メディアへの露出のノウハウもあるし。オープンに好きなことをやらせてくれた上で、関係を築いてくれるのがありがたいよね。ビデオ公開の手助けをしてくれたのはもちろん、ライヴもいくつかアレンジしてもらったり。

ーじゃあアルバムに出資して、といった感じではなかったんですね。

モリモト:ほとんど作り終えてたから、自分たちで払っちゃってたというのもあるけど、いくつか必要な経費とかを払い戻してくれたりしたよ。実務的なお金の動きの話になっちゃうからアレだけど……。

ー「アジアの顔」として活動をする88risingと関係を築くということは、「アジア人アーティスト」として認識されるということになるわけですが、それについてはどう感じますか? いいことも、もしかしたらそうでないこともあるとは思いますが。

モリモト:そうだね、もちろんどういうふうに映るのかについては考えたよ。実際に彼らから連絡がきたときには、レーベルとしてどんな存在なのかってことをよくは知らなかったんだ。リッチ・ブライアンのビデオを観たことがあったくらいで。それでほかにもいろんなビデオを観たりしていくうちに、すごいカッコいいビデオをたくさん出してるなって思って。いい監督とたくさん仕事してるみたいだったし、興味をもったんだ。


インドネシア出身のリッチ・ブライアン「Dat $tick」のMVは、再生回数1億回を突破。

モリモト:それに、ぼくはアジアン・アメリカンだし、そういうことが本物のアジアの人からは実際どう思われるのかなって。それでインターネットでいろいろリサーチしてみたりね。そこから、88risingがアジアの人たちのなかでどれほど強い「ブランド」なのかってことを知ったんだ。そういった面では自分に安心や自信をもたらしてくれそうだって思ったし、その一方で、なかなかチャンスを得ることが難しいコミュニティの人たちの声を強化させていけるのはとてもいいことだと思ったんだ。

ーなるほど。

モリモト:本当にいろいろ調べたんだよ。あらゆる記事を読んで……批判的なのも、肯定的なのも。派閥は大きく3つくらいで、88risingはアジアン・カルチャーを商業化しすぎてて、一部が誇張されて晒されているようで嫌いだといっている否定派の人たち。それに対して、自分たちの声を届けてくれてるんだ、彼らは革新的で、アジアン・コミュニティから世界にヒップホップを発信する素晴らしい方法を提供しているっていう肯定派の人たち。それから残りが、ぼくみたいなふわっとした、分類できないニュートラルな視点の人かな。

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