ストーンズが30年振りに披露した「プレイ・ウィズ・ファイア」のライブ映像を観る

「プレイ・ウィズ・ファイア」を、約30年ぶりに披露したザ・ローリング・ストーンズ(Photo by Rob Ball/WireImage)

ザ・ローリング・ストーンズのスタジアム公演では通常、バンドの代表曲とされるトラックが中心にプレイされる。しかし2017年9月9日に行われたドイツのハンブルグ公演で、バンドは1965年発表の幽玄な佳曲「プレイ・ウィズ・ファイア」を、約30年ぶりに披露してファンを驚かせた。隠れた名曲がセットリストに加わった経緯について、ロニー・ウッドが語る。

「ラスト・タイム」のB面として発表された同曲は、若い上流階級の女性とその母親である「セント・ジョンズ・ウッドの土地の一角を所有する相続人」の物語を描く。謎めいた同曲については様々な憶測が飛び交い、母親と娘の両方と関係を持ったジャガーの心境を歌っているという説もあった。「ははは!ティーンエイジャーは想像力が豊かだね」2016年発表の伝記『The Rolling Stones All the Songs: The Story Behind Every Track』によると、ジャガーは1968年にそう語っている。同曲がレコーディングされたのは、1月のある日に一晩中行われた「ラスト・タイム」のセッション直後だった。同曲にはジャガーとキース・リチャーズのほか、ジャック・ニッチェがハープシコードで、フィル・スペクターがエレキギターで参加している。「「プレイ・ウィズ・ファイア」は素晴らしい出来だね」ミック・ジャガーは1995年にローリングストーン誌にそう語っている。「曲の意図とサウンドがすごく明確だと思う。ヴォーカルもはっきり聞き取れるしね。俺はタンバリンも叩いてるんだ」

しかし「ノー・フィルター」ツアーが開始される頃には、ジャガーは同曲の魅力を忘れてしまっていたようだ。ロニー・ウッドは著書『Set Pieces: The Rolling Stones Set Lists』の発表の際に行われたインタビューで、『スティール・ホイールズ』ツアー以来演奏されていなかった同曲をセットリストに加えるよう、個人的にリクエストを出したことを明かしている。「たしか僕からミックに提案したんだ。彼はあの曲の魅力に気づいてなかったからね」ウッドはそう話している。「それからしばらくして、ある日のリハーサルで急遽あの曲をやってみることになった。キースはアコギ、僕はアコースティックベースを弾いた。僕としては「悲しみのアンジー」かあの曲か、どちらかをもっと頻繁に演りたいんだよね」同曲を披露するにあたって、ジャガーは「とてもスローでロマンティックなバラード、演奏するのは数十年ぶりだ」と語った。彼らが再び「プレイ・ウィズ・ファイヤ」を演奏するかどうかは、この夏に開催されるツアーの見どころのひとつとなるだろう。




動画:「プレイ・ウィズ・ファイア」1989年 モントリオール公演

Translated by Masaaki Yoshida

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