ローリングストーン誌が選ぶ「2018年聴くべき名盤」11選

9. エド・シュレイダーズ・ミュージック・ビート『リドルズ』

苦労しているアーティストのことを歌った曲は何百とあるがそのアーティストが実際にどん底にいる時にそれが人の耳に届くことはそう多くない。ボルチモア出身の抜け目のないパンクデュオ、エド・シュレイダーズ・ミュージック・ビートに失うものは何もなく、だからこそ彼らの3枚目のアルバム『リドルズ』は、弾むような『ダンス』から『キッド・ラジウム』や『シーガル』のようなニューロマンティック曲まで、いろんな形で感情を爆発させているのだ。これらの曲は実際にレストランのキッチンで皿を洗いながら歌詞を書いた男からの、深夜労働の終わりに小さな幸せを受けるに値する人々のための忍耐力のアンセムである。タイトル曲は(プロデューサーのダン・ディーコンが手がけた)ピアノ主導の光輝く宝石のような曲で、貧しい変わり者の友達とカントリークラブに押し入ることを歌っているがそのシュレイダーとライスの演奏はまさにどん底からの“サンダー・ロード”なのだ。



10. イアン・スウィート『クラッシュ・クラッシャー』

インディーロック・ソングライターのジリアン・メドフォードはこのイアン・スウィートとしてのセカンドアルバム制作の前に当時のバンドメンバーを捨てボストンからロサンゼルスに移住した。それがもたらした結果はこの感情が爆発したようなLPに表れている。『ハイディング』や『スピット』や『クエスチョン・イット』のような曲でまず耳に入ってくるのは彼女のノイジーで恐れをしらないギタープレイだ。ソニック・ユースやダイナソーJr.やマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのファンはこの激しいスコールのような演奏を可能な限り大音量で聞いてほしい。そうすれば失望や失敗について歌ったその鋭い歌詞を受け入れやすくなるはずだ。(『アグリー/ボアード』で彼女は「I forgot (忘れたわ) Did I ever ask what you thought/About the day we fucked in the parking lot?”(駐車場でヤッた日のことをあなたにどう思ったかって聞いたことあったっけ?)」と歌っている。)激しい恋や軽い恋もあるがこのアルバムの恋は相当に強烈である。



11. テディ<3『リリアナ』

ティーンエイジャーでテディ・ガイガーは一気に人気のアイドルとなり誰もが知る人となった。しかし彼女はそれを捨てて、最終的にショーン・メンデスやワン・ダイレクションのようなアーティストに本気のギターポップ・ヒットを提供する裏側の秘密兵器のような存在になっていた。今年、2010年の『ザ・ラスト・フィアーズ』ぶりのアルバムであり彼女が性転換を公表しステージネームをテディ<3に変えて以降、初の作品である『リリアナ』をリリースした。最新のガイガーのサウンドはそういったポップアーティストに提供している純粋なポップソングよりグランジ寄りのサウンドであるが、彼女の独特なポップのセンスはいくらファズを強くしても隠れてしまうことはなく、それは『アイ・ワズ・イン・ア・カルト』や『ゲット・ミー・ハイ』のような曲で確認することができる。




Writers and Editors: Christopher R. Weingarten & Elias Leight & Sarah Grant & Simon Vozick-Levinson & Hank Shteamer & Will Hermes & Jon Dolan & Suzy Exposito & Brittany Spanos & Kory Grow & David Fricke

Translated by Masaaki Yoshida

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE