TVアニメ『ゾンビランドサガ』で「音楽」が果たした役割

ーあと3DCGによる振り付けパフォーマンスもすごく滑らかで自然だなと思ったんですが、あれはどういうふうに作っているんですか?

竹中:3Dモデルは何体も作れないので衣装パターンも限られてたりとかするんですけど、3Dと作画を併用しながら見せようということは最初のコンセプトからありました。

村上:3Dはモーションキャプチャーで撮ったので、声優さんとは別にフランシュシュの動きを担当する子たちもいたんです。監督や竹中さんも立ち会ってスタジオで収録しました。今回、それぞれのキャラクターを見てダンスする子を選定したんですが、リリィは小学5年の女の子で現場ではバキバキに踊ってくれて。スーパー小学生でしたね。

竹中:3Dだけど小学生っぽい動きがちゃんと出てて、リリィに合ってましたよね。ただ、山田たえはどれくらい踊ればいいのかっていう問題があって。他の5人はちゃんと踊りなさいって言われてるのに、1人だけ「たえっぽく」っと言われて、だいぶ迷いながら現場ではやってくれました。変な動きなのに6人全体で見たときにバランスが壊れないようにっていう。

村上:たえの動きを担当した子は本当はめちゃくちゃ踊れる子だったんですけど、踊れない動きをするっていうのは大変だったんですよね。


©ゾンビランドサガ製作委員会


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ーモーションキャプチャーの動き然り、監督、脚本、キャラクター、声優など、アニメ作品に血を通わす要素はたくさんありますが、そのなかで「音楽」が持つ働きや効果って、どんなところにあると思いますか?


竹中:伝えたいメッセージだったりとか、感じてほしいってことは企画段階の脚本ベースには入ってるんですよね。音楽は最後の最後になるので、僕らが考えていたイメージをさらに倍増させて強化してくれるものというか、そういう瞬間に立ち会うと音楽の力って凄いなと思います。何度も見てるはずなのに、音楽が合わさることで涙が出てしまうとか、この作品からはそういう力を特に感じますね。

佐藤:メロディやフレーズの部分で、より感情を煽るようなものにしたかったというのはあるかもしれません。

村上:ツールって言ってしまうと味気ないかもしれないけど、歌や音楽の「手法」は感情にシンプルに訴えかけてくるものなので、それがこの作品のいい味になってると思います。

竹中:あとは音楽が笑いのフックになってるというか。1話のデスメタルは飛び道具的な感じですし。



村上:2話のラップもそうですよね。



竹中:笑いから感動に流れを持って行きたいとき、そこに音楽があると上手に機能するんですよね。

ーゾンビランドサガは「何のために作ったかという意味なんてない。純粋に作りたいもんを追い求めた結果出来上がった作品」と別のインタビューで竹中さんは発言されてましたが、「自分が本当にやりたいこと」と「周りから求められるもの」の狭間に立ったとき、プロデューサーとして大事にしていることは何かありますか?

竹中:いろんなインタビューで言ってますけど、元々は「アイドルゾンビ」っていうタイトルで佐賀県の要素は全くなかったんです。そのときに弊社の社長から佐賀県のご当地アニメを作りたいという話をもらって、それじゃあゾンビとくっつければ形になるかもと思ったんです。その結果、企画が前に進んだし、いろんな人の意見が入ってくることになるんですが、自分が面白いと思ってるところは変えたくなかったんです。

もちろん意見を取り入れるべきところはそうしましたけど、どうしても変えちゃいけないと思ってるところは変えないという「信念」ですかね。例えば、車で人を轢くシーンなんてダメだって思う人もいるわけです。でも作品的にはそこが入口ですから絶対に変えようとは思いませんでした。

佐藤:そうですよね、死ななきゃゾンビにならないですし(笑)。

竹中:話数が進むと「ここはこうした方がいい」っていう局地的な意見も出てくるんですけど、僕等はも全体を見て何周か考えをめぐらせた上で今の形にしているので。だから「変えない」ってことに対しての説明努力はかなりしたと思います。

ー構想段階から4年も経っているわけですからね。

竹中:ふざけて見える作品かもしれませんけど、放送後の反響を見て、信念を持って作ったのは良かったなと実感してます。


©ゾンビランドサガ製作委員会


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