パートナーと共闘し勝利を目指す、プロレスならではの試合形式であるタッグマッチ。棚橋弘至&オカダ・カズチカの"両巨頭"が奇跡の合体を遂げたことで新日本プロレスのタッグ戦線は、さらなる盛り上がりを見せるといわれている。だが、そうした風評にキッパリと異を唱えるのが、タッグリーグ戦2連覇を果たしたEVIL&SANADA組だ。
内藤哲也をリーダーに据えた、現在の新日本プロレスを代表する人気ユニットL・I・J(ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン)のなかでも、どちらかといえば陰の役割を担う存在となっていた感のあるEVILとSANADA。そんな彼らが、秘めていた真価を発揮するきっかけとなったのが、年末に開催されるタッグリーグ戦「WORLD TAG LEAGUE」だった。新日本マット屈指の頭脳派でもあるEVILと、身体能力を活かして直感で闘うSANADA。異なる2つの才能の融合は、2017年、2018年のリーグ戦連覇という快挙を生み、さらには個々の選手としての評価も大きく高めることとなった。だからこそ、原点であるタッグチームには格別のこだわりがあるという2人。はたしてEVIL、SANADAが追求するタッグの理想像は、どのようなものなのだろうか?
棚橋&オカダ組は「1+1」を「2」にすることもできていなかった
─EVIL選手、SANADA選手ともに2018年は、ファンから見ても大きな飛躍の年になったという印象があります。まずは、昨年の活躍に関する感想から聞いてみたいのですが。
SANADA:確かに2018年はレスラー人生で、いちばん変化があった年かもしれないですね。具体的な話でいえば、敗れはしたもののオカダが持っていたIWGPヘビー級のベルトに挑戦(2月)してから勢いが増したというか。自己評価だけど、自分の理想とするプロレスに、かなり近づくことができた年だったと思います。
─EVIL選手とのタッグで、WORLD TAG LEAGUEを2連覇したことについては?
SANADA あのリーグ戦に関しては……、あのメンバーで優勝できなかったら、さすがにヤバいだろっていう感じだったんで(苦笑)。
EVIL 同感だな。とはいえ俺の場合、2018年はシングルの戦績に満足できないところがあったから、優勝できて一安心という気持ちがあったのも事実だよ。これからの展開を見据えてという意味では、まぁまぁ有意義な1年だったと言えるな。
─俺たちが優勝して当然だろ?という2人の気持ちはよくわかります。昨年のWORLD TAG LEAGUEに関していえば、SANADA選手も指摘しているように、タッグ再結成が話題となったゴールデン☆ラヴァーズ(ケニー・オメガ&飯伏幸太)や棚橋弘至、オカダ・カズチカといったドームの上位カードに入る選手の参加もありませんでしたから。そのあたりについての不満は、相当なものがあったのではと。
EVIL:不満というか「それでいいのか?」っていう気持ちは確かにあった。新日本のタッグ戦線、ひいてはIWGPタッグの価値をどう考えているのか……。
SANADA:まぁタッグチームとして、自分たちが最強っていう事実とは関係のない話なんですけどね。変な話、ゴールデン☆ラヴァーズや棚橋&オカダ組がリーグ戦に参加しなくて良かったなっていう感想もあるんですよ。
─それって、愉しみは後にとっておきたい的な?
SANADA:いや、むしろその逆で。リーグの公式戦とは別に彼らの試合が組まれていたじゃないですか。一応チェックしたんですけど、あんな感じなら闘わなくてよかったなって。
─それは、どちらのチームに関しても?
SANADA:棚橋&オカダ組に関して言えば、そもそもタッグチームとして成立してなかったですよね。互いの能力や持ち味を、タッグに活かしきれていなかった。
EVIL:まさに、そこだな。昔からタッグは1+1の力が何倍にもなるっていうだろ? でも奴らの試合は2にもなってなかった。せいぜい1.5ってところか。
SANADA:話題性がある2人だからって、面白くなるとは限らないという好例みたいな組み合わせでしたよね。年末の特番とかで、時々見かけるスペシャル・コラボみたいな感じ(笑)。