ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ベスト・ソング」トップ50

6位 ラナ・デル・レイ「Mariners Apartment Complex」

「俺はお前のものだ」と囁くラナ・デル・レイの声には、レナード・コーエンの亡霊が宿っている。間もなくリリース予定のアルバム『Norman Fucking Rockwell』からのファーストシングルの一節だ。「Mariners Apartment Complex」は、デル・レイのノスタルジックでポップな作品群の中でも特に力強い1曲。某海兵隊宿舎の外で語られる会話をテーマに、男が女に対して抱く妄想を、女の本性が裏切っていくさまを淡々とつづる、心奪われるほどに切ない物語だ。デル・レイ自身のイメージとキャリアを象徴するかのよう。ジャック・アントノフの洗練されたプロデュースが光る。

5位 ドレイク「ナイス・フォー・ホワット」

トロントールイジアナを結ぶ直線上を、ドレイクが闊歩する。ドレイクが初めてニューオリンズ・サウンドへの憧れを表明した「ナイス・フォー・ホワット」は、Big Freediaからのお墨付きを授かった。ローリン・ヒルのヒップホップ・サウンド(「エックス・ファクター」)をテンポアップしてサンプリング。ダンスフロアで自撮りに忙しい熱心なパーティガールたちが、露出度の高い恰好で迫ってきても、挨拶して通り過ぎる。「ナイス・フォー・ホワット」は8週連続No.1に輝いた。2018年のドレイク基準でみれば、そこそこヒットと言うところか。

4位 カミラ・カベロ「ネヴァー・ビー・ザ・セイム」

スローで熱のこもったピアノが響く「ハバナ」の後、カミラは超ド級のエレクトロバラードにシフトチェンジ。どんな曲でもこなせることを証明した。「ネヴァー・ビー・ザ・セイム」に出てくる女性は恋愛中毒症。飽き足らず、悪い男と何度もヨリを戻してしまう。最後の山場で、カミラは名作「ビー・マイ・ベイビー」のドラムパートをバックに、ふぅっとため息をつく――きっとロニー・スペクターも、どこかで誇らしげに思っているに違いない。

Translated by Akiko Kato

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