ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ベスト・アルバム」トップ50

3位 カミラ・カベロ『カミラ』
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今年最高のデビューアルバムに備わった屈強さは、長く続いていくであろう彼女のキャリアの土台となるに違いない。『カミラ』には飾り気のない成熟さ、キャリアを通じて身につけた実力、そして問答無用のキャッチーさが備わっている。特大ヒットとなった「ハバナ」には、単にトレンドを追いかけるだけのポップシンガーにはなるまいとする、彼女のスタンスがはっきりと現れている。ロックやオールドスクールなラテン・ポップ、そして伝統的ソングライティングを融合させた本作からは、若き女性アーティストの素顔がくっきりと浮かび上がる。

2位 ケイシー・マスグレイヴス『ゴールデン・アワー』
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本作でメインストリームでのブレイクを果たしたマスグレイヴスは、ロレッタ・リンを思わせるカントリー界の反逆児から、ディスコに夢中のコズミック・ソフトロック・カウガールへと転身してみせた。『ゴールデン・アワー』は実に巧みなやり方で、現代の「カントリー・ミュージック」を縛るルールをことごとく破ってみせた。(予想された通り)メインストリームのカントリー専門ラジオ局からのサポートは得られなかったが、本作はポップチャートでトップ5、カントリーチャートでナンバーワンを記録した。優雅な浮遊感を漂わせる「スロウ・バーン」、トレードマークである小生意気さが光る「ハイ・ホース」、そしてダフト・パンク風のヴォコーダーが印象的な「オー、ホワット・ア・ワールド」まで、本作は野心とバラエティに富んでいながら、聞き手に寄り添うような親密さも備えている。

1位 カーディ・B『インヴェイジョン・オブ・プライバシー』
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「私はリッチでビッチ、匂いでわかるでしょ」モダン・クラシックとなったデビューアルバムで、彼女はそう宣言してみせた。特大ヒットとなった「Bodak Yellow」に続くフルアルバムは、笑えるツイートを詰め込んだだけの内容であってもおかしくなかった。しかし彼女は、ダーティ・サウスの血統を示した「Bickenhead」、ゲストに迎えたバッド・バニーとJ・バルヴィンと共にドミニカンとしての誇りを主張する「I Like It」等を収録した本作で、唯一無二の歌声を誇るイノベイターとしての地位を確立してみせた。閉鎖的でどこか暗かった2018年のヒップホップシーンにおいて、彼女が放つネオンカラーのカリスマ性、そして人々のポップへの関心を踏み台にする度胸は極めて新鮮だった。ストリップクラブでキャリアをスタートさせた彼女は、神聖な場所に色気を持ち込み(「宣教師を汗だくに、神に涙を流させる」)、パートナーをたじたじにし(「Be Careful」)、シザをゲストに迎えた最終曲「I Do」では「私たちみたいな筋金入りのビッチ、それは神様からの贈り物」と言い放つ。カーディに神のご加護を。


Witers and Editors : Jon Dolan & Brendan Klinkenberg & Maura Johnston & Simon Vozick-Levinson & Christian Hoard & Christopher R. Weingarten & Charles Holmes & Elias Leight & Suzy Exposito & Rob Sheffield & Jonathan Bernstein & Brittany Spanos & Will Hermes & Kory Grow & Hank Shteamer

Translated by Masaaki Yoshida

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