ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ベスト・アルバム」トップ50

12位 ブランディ・カーライル『By The Way, I Forgive You』
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自身を「田舎町出身のレズビアン・フォークシンガー」と形容する彼女は、本作『By The Way, I Forgive You』で2005年のデビュー以来育み続けてきたその才能を一気に開花させた。その圧倒的な歌声と、デイヴ・コブとシューター・ジェニングスによる控えめながらも秀逸なプロダクションに支えられた楽曲群は、閉鎖的な社会に対する失望と不満を滲ませている。自分に素直に生きようとアウトサイダーたちの背中を押す「The Joke」は、違いを受け入れようとしない人々を沈黙させる。「Hold Out Your Hand」における「あなたはもう十分すぎるほど我慢した」という歌詞は、世界をより開けた場所にするために戦い続ける人々の魂の叫びだ。

11位 ポール・マッカートニー『エジプト・ステーション』
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マッカートニーは『エジプト・ステーション』で、『エボニー・アンド・アイボリー』以来初めて(実に36年ぶりに)チャートのトップの座を獲得した。『ラム』にも通じるエキセントリックなポップソングの数々には、マッカートニーにしか生み出せないマジックがはっきりと宿っている。遊び心に満ちた「ファー・ユー」のようなシングル曲がどこか収まり悪く感じるのは、悲しみをたたえたアコースティック曲「コンフィダンテ」や、ボサノヴァ調の「バック・イン・ブラジル」、ポストパンク風のギタードローン「ドミノズ」といった、空間を活かした楽曲群こそがハイライトである証拠だ。マッカートニーは本作で、76歳にしてその音楽的好奇心が少しも衰えていないことを証明してみせた。

10位 ドレイク『スコーピオン』
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ドレイクは今年、ヒップホップ界における不機嫌な皇太子という肩書きを遂に放棄した。「ナイス・フォー・ホワット」「イン・マイ・フィーリングス」「ゴッズ・プラン」といったキャリア史上屈指のシングル群によって、ドレイクは文字通り世界最大のポップスターとなった。ドレイクはこれまでも富と名声が自分を幸せにはしないと歌い続けてきたが、『スコーピオン』は彼のディスコグラフィーにおいて最も長尺かつ洗練されたアルバムだ。2枚組アルバムでありながら捨て曲のない本作だが、そう感じないリスナーは好きなトラックだけを集めたプレイリストを作ればいい。自身の作品がそうやって消費され、それが結果的に多額の収入をもたらすことを、彼は誰よりもよく理解している。

Translated by Masaaki Yoshida

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