N.W.Aマネージャーによる『ストレイト・アウタ・コンプトン』訴訟が取り下げ

©Universal/courtesy Everett / Everett Collection

N.W.Aのマネージャー、ジェリー・ヘラー氏がN.W.Aの伝記映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』のプロデューサー陣を相手に1億1000万ドルの訴訟を起こしてから3年、そして75歳でこの世を去ってから2年以上が経った現在、裁判官はヘラー氏の著作権侵害訴訟を取り下げた。

2015年10月、ヘラー氏は『ストレイト・アウタ・コンプトン』が無断で自身の名前を使用し、俳優ポール・ジアマッティによってギャングスタ・ラップグループを「利用した低俗な悪役」マネージャーとして描かれたことに対し、N.W.Aのメンバーと伝記映画のプロデューサーを務めたメンバーのドクター・ドレーとアイス・キューブ、ユニバーサル、そしてイージー・Eを訴えていた。

さらにヘラー氏は、映画の脚本の一部(そこにはイージー・Eがシュグ・ナイトに強制されてヒップホップレーベルのDeath Row Recordの権利を譲渡するシーンも含まれている)に自ら執筆した回想録『Ruthless: A Memoir』が無断で使用されていると主張した。

「この業界に身を置いてから60年ほどになる。直接的であれ、間接的であれ、私はこれまでに世界のほとんどのメジャーアーティストの代理人を務めてきた。私にはいくらかの評判というものがあって、当然ながら、そうした評判は私について人々が言っていることとは無関係なんだ。人々の言うことは非常に攻撃的だから」と訴訟についてヘラー氏はローリングストーン誌に言った。「『No Vaseline』も攻撃的だと思ったけど、こっちのほうがずっとつらい。分かるだろう? 私は私であって、泥棒なんかじゃない。それに、私はスキャンダラスな人物でもない。N.W.Aのために多くを捧げた……だって私たちの成功はただただすばらしかったから。だから、彼らに泥棒と呼ばれるのは最悪の気分だ。そんなことは断じて許さない」。

医療措置を必要とする緊急事態によって引き起こされた交通事故で2016年9月にヘラー氏が死亡しても、ヘラー氏の遺産管理人が訴訟を引き継いだ。しかし、米現地時間2018年12月21日金曜日、カリフォルニア州地方裁判所の裁判官はヘラー氏の遺産管理人が故マネージャーの訴訟を十分に証拠立てることができないと判断した、とエンターテイメント業界専門のメディア、ハリウッド・レポーターが報じた。

「原告は、ヘラー氏が映画脚本の共同執筆者であり、ユニバーサルがその脚本を使用する許可を得ていたと証明するのに十分な証拠を提供できなかった」とマイケル・フィッツジェラルド裁判官は判決文に記した。「両当事者の合意に基づき、今回の申し立てに対して許可を得ずして改定を認めないものとする。これにて本訴訟を却下する」

ヘラー氏が1億1000万ドルの訴訟を起こしていた当時、『ストレイト・アウタ・コンプトン』は映画史上最高額の興行収入をあげた音楽伝記映画だったが、この記録は最近、クイーンの映画『ボヘミアン・ラプソディ』によって塗り替えられた。

Translated by Shoko Natori

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