ニッケルバックが語るライブの美学、解散の危機、ロックが不滅である理由

―話を戻しますが、現在のアメリカの音楽シーンについて、あなたの率直な感想を教えてもらえますか?

マイク:今、ポピュラーなものも5年後には恐らくそうではなくなる。そういうサイクルが綿々と続いていくように見えるんだ。だから、ロックファンの諸君にはとりあえずイイ子で待っていろ、としか言えないな(笑)。 そのうちまたきっと、好みの音楽が戻ってくるから。今までもずっとそうだった。エルヴィス・プレスリーがロックンロールを生み出してからというもの、立ち消えることなく何度も復活してきた音楽なんだから。

Photo by Richard Beland

―その中でニッケルバックは23年間バンドを続けてきました。もちろん苦労はあったと思いますが、振り返って、あの時は本当に危なかった、解散の危機だった、みたいな瞬間はありますか?

マイク:そんな瞬間はたくさんあるよ(笑)。特に最初の頃なんて、その繰り返しだった。果たして自分たちが正しい方向に進んでいるのか、そもそもやっていることが正しいのか、わからないままとにかく前進し続けるしかなかったからね。願わくば、この方向で合っていますように、みんなが気に入ってくれますように、と願うしかなかった。どんなバンドに聞いても……長く続けているバンドは同じことを言うんじゃないかな。何度も辞めようと思った、と。特に最初の5年ぐらいはキツかったよ。

―辛い時期を乗り越えて、前身し続けることでバンドが好転する瞬間が訪れるわけですよね?

マイク:ああ、そうなったね。俺たちの場合は、ありがたいことに成功がついてきてくれたからね。バンドを続けていく上でも大きな自信がついたからさ。良い反応が返ってくると、それだけでバンドをやるための理由にも繋がる。「ハウ・ユー・リマインド・ミー」でいい反応を得られたことで、ものすごく後押しになったからね。これでいいんだ、と思えたから。あと、歳を重ねるに従ってお互いの折り合いのつけ方がわかってきた、というのもある。バンドの解散には2つの理由がある。ひとつは売れない。もうひとつは仲が悪い。両方揃えば解散まっしぐらさ(笑)。



―兄弟バンドとしては奇跡の成功例ではないですか(笑)。

マイク:別に調査したわけじゃないから証拠はないけど、兄弟で仲が悪いバンドというのは多くの場合、そう仕向けられているところもあるんじゃないかな。レーベルとか、プロモーターとか、そういう人たちの大好物なんだよ、その手の話題は。世間もドラマチックな話が好きだしね。そういえば一度……あれは確か、俺たちの曲が思うようにチャートに上がらないとか、レコードが苦戦しているとか、ちょっと理由は忘れてしまったが、とにかく状況を打開するために、レーベルの人間が俺とチャドに公衆の面前で喧嘩しろと提案してきたことがあったな。

―えっ、そんなことがあったんですか!?

マイク:ああ、笑えるだろう?  そうやって騒ぎを起こせ、と。みんなが見ているところでおおっぴらに喧嘩すれば話題になって、それに乗っかってレコードをプロモーションする機会も増えるだろうと。それを電話で提案された時の気持ちは今でもはっきり覚えているよ。まず絶句して、その後に発した言葉はここではあえて繰り返したくないので、まあ、丁重にお断りした、ということにしておこう(苦笑)。

―何となく察しがつきます(笑)。

マイク:ある種の侮辱だと俺は感じたんだよ、そんな提案をしてくるなんて。だからうまく反応できなかったのを覚えている。確かに功を奏する可能性もあるだろう。でも俺は嫌だったし、チャドも嫌がっていた。バカげた提案だよ。

―ええ。最後に来年2月に行われる日本公演について話を聞きたいのですが、 2012年以来となる2度目の日本武道館公演を含む3公演を控えてます。前回の武道館公演は覚えてますか?

マイク:もちろん、はっきり覚えているよ。素晴らしい会場なのは認識していたから、そこで演奏できることを本当に嬉しく思った。ロックンロールの会場としては、これ以上望めないくらい優れた会場だと思うよ。日本にまた行けるだけでも嬉しいけど、大好きな日本のファンのみんなとの再会を何よりも楽しみにしているから、是非顔を見せに来てほしいね。



NICKELBACK Japan Tour 2019
2月6日(水)大阪・Zepp Osaka Bayside
2月7日(木)愛知・Zepp Nagoya
2月9日(土)東京・日本武道館
http://creativeman.co.jp/artist/2019/09nickelback/

Translated by Kazumi Someya

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