ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ベスト・ジャズ・アルバム」トップ20

6位 チャールズ・ロイド&ザ・マーヴェルズ、ルシンダ・ウィリアムズ『Vanished Gardens』

本作には、楽しげな“オールスター”によるセッションという面と、ヴェテラン・プレイヤーとの真の芸術的なアライアンスという一面がある。ビーチ・ボーイズやドアーズらとの共演でも知られるジャズの巨匠チャールズ・ロイドと、著名なルーツ・シンガーのルシンダ・ウィリアムズがタッグを組み、本作を完成させた。アルバムには、ビル・フリゼール(Gt)、グレッグ・リース(ペダルスティール)、リューベン・ロジャース(Ba)、エリック・ハーランド(Dr)ら、ワールドクラスのアーティストたちも参加し、新旧さまざまな楽曲や厳選されたカヴァー曲をリラックスした雰囲気でプレイしている。ウィリアムズ作品のリワークである「Ventura」や「Unsuffer Me」、さらに激しく光を放つジミ・ヘンドリックスの「Angel」など、ジャンルを超えた曲を楽しめる。また、収録された数曲のインストゥルメンタル作品は、80歳になるロイドがいかに飾り気なく巧みにジャズの境界線を広げ続け、新鮮な空気を呼び込んでいるかを表現している。



5位 ペーター・ブロッツマン、ヘザー・リー『Sparrow Nights』

頑固な放蕩者というレッテルをたびたび貼られるペーター・ブロッツマンは、間違いなくこの50年で最も偉大なインプロヴィゼーションのコラボレーターのひとりだ。デュエットで最高の才能を発揮する彼と、ペダルスティール奏者として活躍するヘザー・リーとのコラボレーションは今、最高潮を迎え、雰囲気の良いスタジオ・レコーディングのゴージャスなインプロヴィゼーションを実現した。得意とするテナー・サックスやその他のサックスであれ、クラリネットであれ77歳になるブロッツマンは、リーによる悲しみに満ちた叫びと、憂鬱で時には耳障りなテクスチャーと張り合っている。収録された10曲は抽象的かもしれないが、純粋に感情的な表現をするならば、2018年の最もアーシーで感動的なブルーズだと言える。



4位 マカヤ・マクレイヴン『ユニバーサル・ビーイングス』

2018年の最もバジーなジャズ・アーティストは、ドラマーでプロデューサーのマカヤ・マクレイヴンだろう。スター・バンドを率いて世界中を回りライヴ・レコーディングし、その成果を精巧につなぎ合わせ、大陸をまたいだグルーヴのコラージュを作り上げた。彼の最新アルバムは、1年半の間にニューヨーク、ロンドン、ロサンゼルス、そして故郷のシカゴで行ったライヴから素材を集めたもの。マクレイヴンは共演者のサポートに回ることもたびたびあり、ハーピストのブランディ・ヤンガー(ニューヨーク・サイド)や、サクソフォニストのヌビア・ガルシア(ロンドン・サイド)らと魅力的なインプロヴィゼーションを繰り広げている。本作は、豊かな音楽旅行記であり、かつ偉大なインプロヴァイザーたちがオーディエンスの前で繰り広げるプレイを収めた最新の記録でもある。ちなみに2017年10月のライヴを収めたアルバム『Where We Came From』では、本作のロンドン・サイドのベースとなった音楽を聴くことができる。


Translated by Smokva Tokyo

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