ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ベスト・ジャズ・アルバム」トップ20

ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ベスト・ジャズ・アルバム」トップ20



18位 クリス・デイヴィス、クレイグ・テイボーン『Octopus』 

「僕らの間には共通の文法がある」と、本作で共演したクレイグ・テイボーンは、斬新なマインドを持つピアニストのクリス・デイヴィスについて語っている。2人は、ユニークで楽しいライヴを披露している。テイボーンによるコメントは、本作に収録された5つの作品を聴けば、さらに理解が深まるだろう。まるで2人の脳がひとつであるかのように聴こえる。テイボーン作の「Interruptions One」で聴ける2人の掛け合いはとても速いため、どちらがどちらをプレイしているか判別不能なほどだ。デイヴィス作の「Ossining」では、パーカッシヴなプリペアード・ピアノをひとつのリズムマシンのように使っている。自由奔放なサン・ラー・ワルツのカヴァー曲「Love in Outer Space」では、2人のユニークなインヴェンションの絶妙なバランスを楽しめる。



17位 アンテローパー『Kudu』

トランペッターのジェイミー・ブランチは、2017年にリリースしたアルバム『Fly or Die』で注目を集めた。激しいインプロヴィゼーションによるテクスチャーと、軽快でゆったりとしたグルーヴをミックスした、エクセレントなカルテットによるアルバムだった。『Kudu』はより偏狭だがエキサイティングさは失わず、ブランチとドラマーのジェイソン・ナザリーは共に、エレクトロニクスによる自由なインプロヴィゼーションで音楽的なウサギの巣穴を深く掘り下げた。例えば「Ohoneotree Suite」では、サイケデリックな抽象と激しいフリーファンクを、説得力をもって橋渡ししている。「Get Up With It」に代表されるように、アルバム全体を通じてフラクチャード・ビートと響き渡るブラスのコリジョンが、70年代のマイルス・デイヴィスによるスリリングな独特の世界の現代版を思わせる。じっくり聴くべき作品だ。



16位 ハイル・メルギア『Lala Belu』

『Lala Belu』は、強烈なファンクをベースとしたトランス調のノリの良いサウンドで、2018年の最先端のジャズにフィットしている。本作の作者ハイル・メルギアは、70年代初頭から祖国エチオピアでは有名なキーボーディストだったが、国外では2013年まで無名の存在だったことは興味深い事実だ。彼は同年、流行りのレコードレーベルAwesome Tapes From Africaによる80年代のアルバム・リイシューの1枚に参加した。マイク・マイコフスキー(Ba)とトニー・バック(ザ・ネックスのドラマー)のオーストラリアン・リズムセクションによる揺るぎないパルスをバックに、アコーディオンやさまざまなキーボードを操るメルギアが、豪華なサウンドのタペストリーを編み上げている。アルバム全般で、クラシカルなオルガン・トリオによるジャズ、ジュークボックから流れるブッカー・T&ザ・MG’sのR&B、長いラーガなどがブレンドされ、ピアノ1台でアルバムのラストを飾る「Yekfir Engurguro」は、繊細でソウルフルなチェイサーになっている。メルギアが時代の先を行ったのか、あるいは世界がようやく彼に追いついたのだろう。



15位 JP・シュレーゲルミルヒ、ジョナサン・ゴールドバーガー、ジム・ブラック『Visitors』

2000年〜2013年にかけて、ドラマーでコンポーザーのジム・ブラックはアラスノーアクシスを率いて、実験的なジャズとアトモスフェリック・ロックを融合した一連のブリリアントなアルバムをリリースした。2018年、キーボーディストのJP・シュレーゲルミルクとギタリストのジョナサン・ゴールドバーガーとのコラボにより、それぞれが楽曲を持ち寄る形で、当時の印象的で分類し難い音楽を再現した。現代の冒険的なインプロヴィゼーションに匹敵する気骨のあるプログレッシヴと驚きのサイケデリアから生まれた「Visitors」は、印象的に作り上げられたメロディと深く練り上げられたテクスチャが結合されている。アルバムを製作した3人のプレイヤーが棲むジャズの世界に精通したリスナーのみならず、デヴィッド・ボウイやキング・クリムゾンのファンにもアピールするような独創的なスタイルが、シームレスにブレンドされた作品といえる。


Translated by Smokva Tokyo

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