ローリングストーン誌が選ぶ「ベスト・ミュージック・ビデオ」トップ10

ローリングストーン誌が選ぶ「ベストミュージックビデオ」トップ10


9位:Flasher「Material」

監督:ニック・ロニー
ワシントンDC出身のポストパンク・バンドFlasherは「Material」の映像化にあたり、YouTube時代のメディアのやり方を踏襲した。こうして完成したミュージッククリップは、バッファリング、ポップアップ広告、アルゴリズム、オートプレイ、タグ付け、フレームスキッピングのオンパレード。とくに笑えるシーンは『ケンタッキー・フライド・ムービー』のインターネット版という感じがしなくもないが――素人のアカペラ映像、角栓取り動画など、なんの脈絡もない爆笑映像――Flasherのようなインディーズロックバンドが、こうした拡散ビデオと場所取り合戦をしなくてはならない状況を思えば、十分楽しめる。

8位:Blackpink「Ddu-Du Ddu-Du」

監督:Seo Hyun Seung
Blackpinkは、2009年にデビューしたメガスター2NE1以来、YG Entertainmentが久々に放った女性グループ。韓国では、2016年にファーストシングルをリリースする前から期待が高まっていた。「Ddu-Du Ddu-Du」は、彼女たちの2枚目のミニアルバム『Square Up』からのリードシングル。YouTubeでのミュージックビデオ閲覧数は3620万件に達し、24時間での閲覧件数ランキングでは、テイラー・スウィフトの「ルック・ホワット・ユー・メイド・ミー・ドゥ~私にこんなマネ、させるなんて」に次ぐ史上第2位となった。監督のSeo Hyun Seungは、ケイティ・ペリーやニッキー・ミナージュ級のポップな映像を繰り出すことで有名だが、そんな彼が全力投球でのぞんだのが「Ddu-Du Ddu-Du」だ(彼のスタイルをもっと知りたいなら、iPartynauseousによるSeo Hyun SeungビデオTop 10をチェックせよ)。クレイジーな人々の祭典、これでもかと盛り込まれるクリエイティビティ。Master Pの「Make ’Em Say Uhh」以来、ミュージックビデオで持てるすべてを投入した作品だ。

7位:Tierra Whack「Whack World」

監督:ティボー・デュヴェニクス
Tierra Whackのミニアルバムと合わせてリリースされた、モーフィングの連続映像は、シュールで、R&Bにのせたトリップ体験――15曲を15分で一気に駆け抜ける――22歳のフィラデルフィア出身のラッパーは、さまざまな設定で登場する。マペットたちが歌う墓場、パステルカラーのネイルサロン、リビングルーム、死に装束に身を包んだ葬式、ウォン・カーワイの映画から出てきたようなダイナー。Whackの曲に合わせ、各場面がぱっと切り替わる。物憂げにブルーな気分で華やかなレッドカーペットを歩いたかと思えば、次の瞬間には山男風の訛りで「あんたのケツを/ぶっ飛ばす」と宣言し、赤い風船を飛ばしている。監督のティボー・デュヴェニクスは、ミシェル・ゴンドリーばりのペースをどんどん上げていくが、一番驚いたのは最初の場面転換。アーティストがキュビズム風の顔が描かれたフードを下ろすと、家庭内暴力の被害者の顔が現れる、というシーンだ。ニューヨークタイムス誌とのインタビューで、本人がいうところのWhack Worldとはどんな場所かと尋ねられると、「クレイジーだけど、穏やかな場所よ」と答えた。「すごく怖くて、居心地がいいときもあれば、そうじゃないときもあるの」D.F.

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


Current ISSUE

RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事