ローリングストーン誌が選ぶ「2018年再発盤」ベスト10


8:ザイダー・ゼー 『Zeenith』
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1972年〜1974年にかけてメンフィスでレコーディングされながら、1975年にコロムビア・レコードからひっそりとリリースされたデヴュー・アルバム『Zuider Zee』には収録されなかったデモ集。ルイジアナ出身の奇妙な名前のバンドは、刺激的なパワー・ポップと野心的なプログレッシヴ・ロックを融合させた。イエスが、デヴィッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』でギターを弾いたミック・ロンソンを採用してビートルズの『アビイ・ロード』を製作した感じだ。ザイダ―・ゼーがカルトのセンセーションだというのは、ロック評論家が作り上げた幻想だ。評価を見直すのは今からでも遅くはない。

9:ジョン・コルトレーン 『Both Directions at Once: The Lost Album(ザ・ロスト・アルバム)』
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原題のサブタイトルになっている『ザ・ロスト・アルバム』は、決して誇張表現ではない。1963年3月6日にコルトレーン(サックス)がマッコイ・タイナー(ピアノ)、ジミー・ギャリソン(ベース)、エルヴィン・ジョーンズ(ドラム)と共演した音源は、コルトレーンがモノラルテープで唯一保管していた。無題のブルーズや『インプレッションズ』の複数テイクが録音されているところから、当日のセッションはリハーサルだったことを伺わせる。コルトレーンが4枚ものアルバムをリリースした年に録音された本音源は、単なる補足的な存在にとどまらない。これは荘厳で徹底した本質的音楽なのだ。

10:ワイヤー 『Pink Flag: Special Edition(ピンク・フラッグ:スペシャル・エディション)』
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1977年後半、ラモーンズのサード・アルバムとセックス・ピストルズの『勝手にしやがれ!!』がリリースされた数週間後、ワイヤーのデヴュー・アルバムがポスト・パンク時代の幕を開けた。シンプルな骨格にマシンガンのようなテンションとユニークでキャッチーなメロディを乗せ、複雑そうに聴こえるミニマリズムを実現している。続くセカンド・アルバム『チェアーズ・ミッシング』(1978年)とサード・アルバム『154』(1979年)もまた、ダイナミックで斬新なテクスチャをフィーチャーした大胆な作品だ。これら3作品がスペシャル・エディションとして、デモ・バージョンとアルバム未収録曲を収録し、アートブック付きでリリースされた。スペシャルな扱いを受ける価値は十分にある。

Translation by Smokva Tokyo

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