ローリングストーン誌が選ぶ「2018年再発盤」ベスト10

2:トム・ペティ 『An American Treasure(アメリカン・トレジャー)』
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普通のバンドであればリリースしたであろう未発表曲の『サレンダー(1976年)』で始まる4枚組CDは、この世を去ってしまったロッカーのキャリアに深く切り込んでいる。ラジオ放送された初期の楽曲からは、ペティのルーツとなった60年代に流れる堅牢なモダニズムをはっきりと確認できる。『キープ・ア・リトル・ソウル』をはじめ、体験談に基づく『ゲインズヴィル』や『バス・トゥ・タンパ・ベイ』などの未発表曲は、彼が常にヒット曲につながる深みやストーリー性を重視していたことを伺わせる。彼の死からちょうど1年後にリリースされた本セットには、知られざるトム・ペティの一生が詰まっている。
3:プリンス 『Piano & a Microphone 1983(ピアノ&ア・マイクロフォン 1983)』
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全てを自分がコントロールすることで知られていたプリンスは、生きていれば恐らく本アルバムのリリースを許さなかっただろう。オリジナルの音源は、彼の生前に自宅のカセットで録音されたものだった。初の遺作として未発表音源からリリースされた本アルバムでは、プリンスが歌やピアノのプレイに傑出し、『パープル・レイン』の初期バージョンから、テンポの早くブルージーな『コールド・コーヒー&コケイン』、ジョニ・ミッチェルのカヴァー曲『ア・ケイス・オブ・ユー』の超ショート・バージョンに至るまで、さまざまなアイディアに溢れていたことがわかる。才能豊かな彼のこのような作品がまた出てくることを期待する。
4:ボブ・ディラン 『More Blood, More Tracks(モア・ブラッド、モア・トラックス)』
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ディラン自身の経験に基づくとされる1975年にリリースされた名作『血の轍』を掘り下げたブートレッグ・シリーズ。6枚組CDには、1974年9月にニューヨークで行われたレコーディング・セッションが収められている。当時一度はアルバムを完成させたものの、急遽ミネアポリスでレコーディングし直して5曲を入れ替えた。本セットには、ミネアポリスでレコーディングされた作品も含まれる。スタジオでは直感的に動くことで知られるディランだが、ニューヨークでのセッションでは、そわそわしながらも固い意志を持ってレコーディングに臨む姿が感じられる。バンドと合わせながら、時にはソロでリハーサルを進めていく。我々は結末を知っているが、本セットはそこに至るまでの過程が描かれている。

Translation by Smokva Tokyo

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