ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ホラー映画」トップ10

3位『ハロウィン』
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顔面蒼白のマスクの力を侮ることなかれ。デヴィッド・ゴードン・グリーンの続編/リブート/シリーズ最新作が、40年ぶりに現役復帰。これまでに数えきれない刃物をもてあそび、またもや逃亡の身となったマイケル・マイヤーズが再び脱走し、イリノイ州ハドンフィールドの不気味な郊外にやってきた。ただし今回は、彼を待ち構える者が1人。白髪をふりみだし、ふつふつと闘志を漲らせ、ジェイミー・リー・カーティス演じるローリー・ストロードは悲劇のヒロインから復讐の天使へと姿を変えた。その雄姿を見られるだけで、この映画をみる価値あり。彼女の演技が、作品に予想外の奥深さを与えた(生き残った女性たちのラストシーンも同様)。だが、グリーンはジョン・カーペンターのオリジナル版の醍醐味を忘れてはいない。『ハロウィン』シリーズは、観客を心底ビビらせなきゃいけないという鉄則も。これまでシリーズで流されてきた血糊に、新鮮な血が見事に注入された。
※2019年4月日本公開予定

2位『アナイアレイション―全滅領域―』
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何かが地球にやってきて、透過性ドーム――「シマー」と呼ばれている――の中で、触れるものすべてを取り囲みながら、自然と同化し始める。この危険エリアに足を踏み入れた軍人の夫を失った(本当に失ったのだろうか?)ナタリー・ポートマンは、急速に進化し続ける生態ドームの中でいったい何が起きているのかを確かめるべく、偵察部隊に加わる。脚本兼監督を務めるアレックス・ガーランド(代表作に『エクス・マキナ』)は、ジェフ・ヴァンダミアの小説から脳内SFの金字塔を打ちたてた。だが、これはホラー映画であると同時に、Top10にランクインした全作品の要素を兼ね備えている――実際にこの映画を観て、「泣き叫ぶ」突然変異の血も凍るようなシーンを体験した人に聞けばわかる。ラストは宇宙の神秘で幕を閉じるのだが、ドアの間から見えるポートマンのクローズアップ、そして・・・特大級の恐怖を直観的に感じずにはいられない、何かがそこにある(55秒あたりをチェック)。2月に米国で劇場公開された時は、数週間であっというまに公開終了しまった。気にしない。この映画はこの先何年も語り続けていくだろうから。
※Netflixにて視聴可能

1位『ヘレディタリー/継承
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ある者は『エキソシスト』以来もっとも恐い映画と呼び、またある者はこの10年で最高のホラー映画と呼ぶ。アリ・アスターの長編デビュー作は堂々の傑作。家族の物語を取り上げた、なんとも心乱される作品だ。抜群のタイミング、抜群の演出で狂気へと真っ逆さまに堕ちてゆく。悲嘆とおぞましさ、幽霊ものの恐怖が集ったこの作品は、ほぼ完全無欠のホラー映画だ。家族を失ったアーティスト役を演じるトニ・コレットの演技は、徐々に正気を失っていく人間を演じる際の良い手本。息子を演じるアレックス・ウルフの演技も同様に秀逸、母親役の女優にひけを取らない。カメラワークから音楽にいたるまでの全てが、覚めることのない悪夢を予感させる。何度か繰り返し見ないと、映画の中に巧妙に隠された手がかりを見逃して、全体として本当は何が起きていたのかがわからない。そして迎えるクライマックスでは、ホラー映画では定番の超常現象がオンパレードで登場するが、パクリはひとつもなし。新たなホラーの達人の出現だ。悪の化身、パイモン万歳。
※日本では、2019年4月より公開予定


Translated by Akiko Kato

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