ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ベスト・ポップ・アルバム」トップ20

18位 アン・マリー『Speak Your Mind/スピーク・ユア・マインド』
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イギリスの新鋭アン・マリーは、「2002」という今年最も奇妙なタイムトラベル曲でチャート1位を手にした。この曲は10代のノスタルジアを描いたもので、世界中でヒットを記録。「やばっ、トラブル99個だって/「バイ、バイ、バイ」なんて歌っているうちに/私と一緒に乗って行きたいなら/連絡ちょうだい、ベイビー、もう一度」という歌詞には2002年らしさなどはないが、エド・シーランのギターと伴って、この曲の魅力は増すばかりだ。アン・マリーはキラキラ輝く魅力的なスピリットをアルバム『スピーク・ユア・マインド』の至るところに散りばめながら、「Ciao Adios/チャオ・アディオス」や「Bad Girlfriend/バッド・ガールフレンド」などは見事な辛辣さを見せつける。

17位 クリスティーナ・アギレラ『リベレーション』
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『ストリップト』に続く新作で、クリスティーナ・アギレラがリリースしたマグナム級の芸術作品は、幅広いボーカルレンジ、セックスの自由、感情の成熟が際立ち、彼女は飄々とジャンルの垣根を超える。『バック・トゥ・ベーシック』では20世紀半ばまでさかのぼり、『バイオニック』では未来のポップを探検したアギレラ。しかし、楽しい作品とは言え、テーマと混乱は本来のアギレラとは一線を画していた。6年振りの新作となった『リベレーション』は、彼女の再登場に最適な作品だろう。彼女の一番の楽器で音楽をリードしながらも今風のトレンドも取り入れる手法を見出している。仄かなセクシーさが匂い立つ「Right Moves/ライト・ムーヴス」や、強烈なラップポップのコラボが冴える「Accelerate/アクセレレート」、そしてデミ・ロヴァートとの癒しのデュエット「Liberation/リベレーション」は、業界の騒動を切り抜けた歌姫が遂に心と人生の平和を取り戻したようにも聞こえる。

16位 アレッシア・カーラ『ペインズ・オブ・グローイング』
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「着ているTシャツの前面と背面で魂をロックする」と、不機嫌な10代から自己実現を果たす大人へと成長中のアレッシア・カーラがアルバム『ペインズ・オブ・グローイング』で宣言する。19歳でトリップホップの内向的なアンセム「ヒア」がYouTubeで話題沸騰となったカナダの新星の3年後が現在だ。彼女の最初のヒットとなった「ヒア」では、トリッキーやポーティスヘッドなどの90年代テクノのディストピア的サウンドを背景に、最近流行りのパーティーに行くのがつまらないと嘆いていた。それ以来、誤った再スタートを数回繰り返したが、今作『ペインズ・オブ・グローイング』には、別れのブルース曲「Not Today/ノット・トゥデイ」から南国的な陽気さのR&Bチューン「Trust My Lonely/トラスト・マイ・ロンリー」まで、アーティストとしての成長がはっきりと現れている。

15位 チャーリー・プース『Voicenotes/ヴォイスノーツ』
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2016年のデビュー作『Nine Track Mind/ナイン・トラック・マインド』は面白みに欠ける作品だったが、今作『Voicenotes/ヴォイスノーツ』でプースは自身のシグネチャーとなるスタイルをやっと確立したようだ。プースの音楽は70年代のAMラジオ局で一時代を築いたソフトロックのサウンドを基調にしている。彼とジェイムス・テイラーのデュエット曲(「Change/チェンジ」)に何も感じないのなら、ホール&オーツの曲(「Slow It Down/スロー・イット・ダウン」)を聞くと良い。ヘイリー・キヨコ同様、プースもケラーニとのデュエット曲(「Done for Me/ダン・フォー・ミー」)で輝きを見せ、「If You Leave Me Now/イフ・ユー・リーヴ・ミー・ナウ」ではボーイズIIメンとコラボし90年代R&Bを称賛する。

Translated by Miki Nakayama

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