ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ベスト・メタル・アルバム」トップ20

10位 ユニフォーム『ザ・ロング・ウォーク』

ユニフォームの3枚目のフルアルバムにある規律と罰の精神は、教会で受け継がれてきた色褪せた価値観と自身の利他的な価値観をうまく調和させようともがく、一度堕落し、そして生まれ変わったカトリック教徒であるフロントマンのマイケル・バーダンの内なる混乱を映し出している。バーダンの身の毛もよだつ声とベン・グリーンバーグのトゲトゲしいギターが率いるこのブルックリンのノイズ・メタルバンドは、過去のリリースで使っていた無機質なドラムマシーンを手放し、その空間に圧倒するような生身の人間の残虐さを詰め込むためにリタジーのドラマー、グレッグ・フォックスを招き入れた。アルバムは、変化の少ない音が続く瞑想のようであるが、はっきりと怒りが込められた曲で締めくくられる。



9位 ターンスタイル『タイム&スペース』

アナーキーなライヴで知られるボルチモアのハードコア・パンクバンド、ターンスタイルは爽快なまでのフリーフォームなメジャーデビュー作品で、サウンドとコラボレーターの幅を広げるため様々な試みをした。ガレージロックの「ムーン」ではニルヴァーナからアイデアを借り、魅惑的なジャズのインタールード「ボム」と「ディスコ」では彼らの変わった一面を控えめに出している。長年のファンであるディプロは「ライト・トゥ・ビー」で控えめに参加し、彼のシンセがターンスタイルのはっきりとした政治的な主張を目立たせている。昔ながらのハードコアファンは苛立つかもしれないが、『タイム&スペース』は新しいファンにも昔からのファンにも楽しめる場所がある。



8位 ヴォイヴォド『ザ・ウェイク』

ヴォイヴォドは2013年の『ターゲット・アース』でSF的な奇異さを再現し、80年代のマニアックなメタルのファンのヒーローとなり予想外の飛躍を遂げた。そして、この次作はさらに良いアルバムとなった。亡くなった結成時からのギタリスト、ピギーの代わりとして加入した新しいメインソングライターのチューウィーは、年月を重ねるごとにヴォイヴォドのサウンドに、激しいノリのポスト・パンクから難解なプログレ、歪んでいるが陽気なアート・ポップまで様々な要素をもたらした。一方、ヴォーカリストのスネイクは、常にバンド自体が一つの音楽の世界であるかのように感じさせるような、味のある陰鬱な表現方法を深く探求した。その結果、今年一番輝かしいマニアックなヘヴィメタルという現実逃避の功績となった。



7位 イモータル『ノーザン・ケイオス・ゴッズ』

イモータルは復帰するために、証明しなければならないことがたくさんあった。9年ぶりのアルバムはバンド名を巡る争いで2015年に長年のベース/ヴォーカル、アバスが抜けてから初めてのアルバムであった。しかし1997年以降イモータルのアルバムで演奏することがなかったギター/ヴォーカルのデモナズがその手綱を取り、このブラック・メタルの重鎮はアンセム的なリフと容赦ないスピードとお得意の冷酷な表現で、余計な装飾のない怒りのアルバムを生んだ。電動ノコギリのようなタイトル曲や「ゲイツ・トゥ・ブラシルク」のような不気味なクリーン・ギターと、オールドスクールなヘヴィメタルのパワーからなる曲は、力を再び取り戻そうとしている重鎮達による“ニュークラシック”のように聞こえる。


Translated by Takayuki Matsumoto

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