仏エレクトロシーンを牽引 エド・バンガー・レコーズの創始者が明かすレーベル誕生秘話

エド・バンガー・レコーズのアニバーサリーを祝うペドロ・ウィンター(Photo by Kevin Millet)



ー最初の世界的な成功について教えてください。

ペドロ:世界に私たちの存在を広めてくれたのは、ジャスティスの「Never Be Alone」だと思う。あと、アフィの「Pop the Glock」は——世界的なヒットとまでは行かなかったとはいえ——エド・バンガー・レコーズがリリースしたポップ作品のなかでは間違いなくもっともヒットした楽曲だ。俺はイギリスのチャーリーXCXが大好きなんだけど、彼女もエド・バンガー・レコーズから影響を受けたと言っている。そう言ってもらえるのは、本当にうれしいことだよ。



ー振り返ってみて、エド・バンガー・レコーズにはレーベルならではのサウンドがあると思いますか?

Myd:スタイルは紛れもないフレンチスタイルだね。よく「フレンチタッチ」って言うけれど、それは世界中のエレクトロシーンにおいても重要なサウンドだったんだ。すべてのサンプリングに対する人々の姿勢に大きく影響を与えた。でも、自分にとっての「フレンチタッチ」はどちらかと言うと1990年代のフランスの音楽から来ているんだ。

エド・バンガー・レコーズの音楽は踊れるだけでなく、メランコリックでロマンチックなんだ。本当にロマンチックだ。それは多くのフランス人アーティストの作品にも言えることだ。ダフト・パンク、ジャスティス、セバスチャン・テリエ、Airなんかを聴いてみると、必ず踊れる要素があって、パーティでかけるとみんな踊りはじめる。それなのに、ただのありきたりなパーティチューンとは違う。いつもロマンチックでメランコリーにあふれていて、スマートなんだ。

ブレイクボット:第一印象としては、ディスコ、エレクトロ、ヒップホップとの強いつながりを感じた。でも、エド・バンガー・レコーズにはすべてをミックスするまったく新しいやり方があったんだ。それに、音もデカい。DJ Mehdiはいい例だね。彼はヒップホップ出身だけど、ハウスやテクノもプレイしたし、こうしたジャンルの橋渡しをしてくれた。それがエド・バンガー・レコーズのDNAなんじゃないかな。



ーレーベルが他の音楽に与えた影響について教えてください。

ペドロ:カニエ・ウェストやファレル・ウィリアムスが「ジャスティスに触発された」とか「アフィや、あのアーティストや、あのデュオが好き」なんて言ってもらえるだけで、力が湧いてくるよ

Myd:特にジャスティスとMr. Oizoが好きだな。どちらもアメリカのEDMの影響を受けている。たとえば、スクリレックスはフランスの音楽シーンの大ファンなんだけど、スクリレックスの独創性とサウンドには、数多くのアーティストが影響を受けている。だから、間違いなくエド・バンガー・レコーズは世界中のエレクトロミュージックに影響を与えていると思うよ。

ブレイクボット:多くのキッズがジャスティスのようになりたいと思っている。「Treasure」は「Baby I’m Yours」に影響されたんだって、ブルーノ・マーズから聞いたことがあるよ。別に話し合って作曲者としてトラックのクレジットに記載しよう、なんてことにはならなかったと思うけど。

ーなぜオーケストラバージョンのアルバムでアニバーサリーを祝おうと思ったのですか?

ペドロ:最初に、フランスの有名な指揮者であるトーマス・ルーセルに依頼して、レーベルの楽曲をアレンジしてもらい、70人の団員を抱えるラムルー管弦楽団に演奏してもらう、というコンセプトがあった。ラムルー管弦楽団はパリでもっとも古い管弦楽団のひとつだ。ステージにはコンピューターやリズム機器を一切設置しない、というアイデアもあった。ただ、音楽家と楽器だけで構成したかったんだ。このプロジェクトには3カ月ほどかけ、お金もたくさん使いった。編制から会場にいたるまで、ユニークなコンセプトだったからね。ただツアーをブッキングするだけ、というわけにはいかない。3000人ものオーディエンスが劇場を訪れたんだけど、そのうち90パーセントは本物のオーケストラを目の当たりにするのが初めてだったと思います。

ーレーベルと立ち上げた頃は、フランス的なサウンドを期待されていたと思います。それに対し、今は変化を感じていますか?

ペドロ:多くの人はエド・バンガー・レコーズが2007年とまったく同じサウンドを作ることを期待している。でも、俺はほかのサウンドも喜んで提供していきたいね。


Translated by Shoko Natori

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