ローリングストーン誌が選ぶ「2018年ベスト・ムービー」トップ20

14位『スパイダーマン:スパイダーバース

最高にクールなスパイダーマン映画であるだけでなく、マーベル・スーパーヒーローのアニメ版は、いままで誰も見たことのない衝撃をもたらした。マイルズ・モラレス(今をときめくシャメイク・ムーアが声を担当)はアフリカ系アメリカ人の警察官を父に、プエルトリコ人の看護婦を母に持つ10代の少年。だが、放射性物質を浴びたクモに噛まれたのがきっかけで、壁をするする昇れるようになるはずが――多種多様なスパイダーマンがひしめくメタユニバースに落ちるなんて一体誰が想像できよう?目玉が飛び出し、口はあんぐり、頭の中は真っ白。いわゆるハーフのヒーローが転がり込んだポップパワー全開のファンタジーワールドは、創造力の赴くままにやりたい放題。本気のアクションと、「自分ももしかしたらクモ男かも」と観客をその気にさせる展開は、プロデューサーのフィル・ロードとクリス・ミラーならでは(代表作は『LEGOムービー』)。※日本公開は、2019年3月8日より

13位『妻たちの落とし前』

スティーヴ・マックイーンといえば、『それでも夜は明ける』『ハンガー』『SHAME-シェイム』でもっとも高尚なアートムービー路線を極めた監督。その彼が強盗映画を監督すると聞いて、一部の人々は驚いた。そこで彼は自らの才能を全て注ぎ込み、有名俳優目白押しのスリラーに現実社会の問題を盛り込んだ――銀行強盗未遂で夫に先立たれた3人の未亡人が、残りの人生を自らの手で切り開いていく姿を描いたのだ。ヴィオラ・デイヴィスのダイナミックな演技に触発され、エリザベス・デビッキやミシェル・ロドリゲスも負けじと熱演――逃走車の運転手役シンシア・エリヴォもお忘れなく。素人犯罪集団は、どんな男たちにも引けを取らないことを証明する。さらに『ゲット・アウト』のダニエル・カルーヤが、史上凶悪のサイコパス役で加わる。※日本公開は、2019年4月予定

12位『Burning(原題)』

夢を抱く2人の貧しい若者の恋で始まった物語――ユ・アインとチョン・ジョンソが演じるのは、絵に描いたような不遇の星のもとに生まれた恋人たち――だが、好青年(スティーヴン・ユアン)の登場によって一遍、殺人に対する疑心暗鬼と社会階級へ形を変える。「ウォーキング・デッド」シリーズで名をはせた人気俳優は、今年もっとも不気味な役柄を演じてみせた。笑みを浮かべた狡猾な社会病質者は、記憶の彼方にしまいこもうとすればするほど新たな一面をのぞかせる。すべてを焼き尽くす幕切れは、リー・チャンドン監督の職人技のたまもの。彼が世界に名だたる映画監督だといわれる所以はここにある。※本作は、村上春樹の短編小説「納屋を焼く」を原作としたミステリードラマ。日本公開は、2019年2月1日より。

Translated by Akiko Kato

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