エイズ研究が危機、トランプ政権が研究への助成打ち切りを発表

研究室にて、スポイトでサンプルをシャーレに移す科学者(Photo by Shutterstock)


パーキンソンズ病やアルツハイマー病、糖尿病、ALS(筋委縮性側索硬化症)、脊髄損傷、肝臓病や腎臓病、血液障害や免疫障害など、これら病気の治療や治療薬の開発にあたる研究者たちも、ヒトの胎生組織を頼みの綱としている。そこで、NIHはこれに代わる代替品を探しているところだ。

「ヒトの胎生組織やES細胞由来の組織は、人間の発育過程や病気の進行プロセスを理解し、モデル化するのに使われてきました」新しい研究への資金援助を表明した先の発表は、このように説明した。「生物医学研究の土台となる科学的疑問に光を当て、基本的な生理メカニズムの解明や、正常なヒト組織の成長や病気の進行プロセスの解明など幅広い分野で、ヒト組織を使った研究は重要な役割を果たしてきました。ですが、新たな技術により、胎生組織を使わずとも従来のモデルシステムを再構築できる可能性が見えてきました。新たな技術で、より汎用性の高い、複製再生可能なシステムを生み出すことができるのです」別の言い方をすれば、生物医学研究ではヒトの胎生組織の使用が標準化していることを政府も認めたことになる。それでも政府は、政治的な都合でヒトの胎生組織が使えなくなる場合を想定して、それに代わる組織を科学の力で見つけてほしい、と期待しているのだ。我々がコメントを求めたところ、NIHから即時回答は得られなかった。

確実な代替品が手に届くところにあるのなら、ヒトの胎生組織をめぐる論争を考えれば、当然すでに使用されているはずだ。他にもあたってみろ、というほど簡単な話ではない。

「すぐに使える代替品は思い浮かびませんね」先のエイズ研究所で、ヒト免疫不全ウィルスの翻訳タンパク質と微生物学を研究するワーナー・グリーン博士は、ローリングストーン誌とのインタビューにこう答えた。「モデルは長い年月をかけて完成されて、近代生物医学の研究の標準ツールになったわけですから」

「これを上回る代替品はありませんよ」と博士は言う。「もしあるなら、ぜひ教えていただきたい。私だって長年研究者をやっていますから、いままで試したことが全くないわけじゃないんですよ」


Translated by Akiko Kato

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