ホールジー、初来日で体験した最悪のライブから学んだこと

ホールジー

ホールジーと言えば、デビュー・アルバムの『Badlands』が全米初登場第2位、2ndアルバム『Hopeless Fountain Kingdom』が全米初登場第1位に輝くといった実績からもわかるように、本国アメリカ、そしてワールドワイドでトップクラスのポップスターである。

ただ、他のポップスターと違うのは、10代のときにポップ・パンクの世界で育ったバックグラウンドもあって、彼女は自分自身に対して誠実であること、ファンに対して誠実であることにあくまでもこだわり続ける点なのだ。ポップ・ミュージックでありながらも、彼女にとって歌とは特別なものであり、その歌を伝えるためには、サウンド・プロダクションも、映画のようなミュージック・ビデオも含めたトータル・プロデュースも手がけるという徹底ぶりなのだ。プライベートも含めて5度目となった来日中のホールジーを10月に東京でキャッチした。

ー初めて日本に来たときはどんな感じでした?

ホールジー:初めての日本は2016年で、ライブをやるために来たの。そのツアーの2本目のライブは大阪だったんだけど、その日のライブは人生で一番勉強になったくらい最悪のライブだった。チケットは半分しか売れてなくて、会場はガラガラ。すでにアメリカでの私のライブはほぼソールドアウトしてたから、私もかなり甘やかされた気持ちになってたんだと思う。マネージャーに「これどうするの?」って言ったら、「ライブなんだからやらなきゃ」って言われて。「人もいないし、恥ずかしいわ」「やらなきゃダメだよ」。それでステージに上がったの。来てくれた人たちは最高に楽しんでくれたんだけど、結果として今までで一番パンクなライブになったと思う(笑)。

その日のライブのことはしょっちゅう思い出すの。それで自分もっと頑張らなくちゃって思う。日本に来るたびに思うのは、私はここでは異質な存在なんだけど、日本の一部になるための道を探したいっていうこと。日本のファンに会うと、みんな情熱的だし、素晴らしいし、スゴくクールだから、もっと日本に来て、もっとたくさんの人と会って、もっと友達を作りたいって思う。それで、私がどれだけみんなのことを大好きなのかを伝えたい。日本にいると最高に楽しい時が過ごせるの。あと、日本にいると安全だっていうのも大きいわ。ホールジーのアメリカ、ヨーロッパでの人気が上がりすぎてしまったから、もう日本だけがお忍びで行けて、誰にも気づかれない場所なのよ。私が街を歩いてても、誰も私の邪魔をしない。次の目標は日本語をしゃべれるようになることかな。だって私が話しかけると、「ごめんなさい! 私、英語できないの!」って言われてしまうから(笑)。

ー日本から受けたインスピレーションは「Ghost」のミュージック・ビデオですでに表現していますよね。

ホールジー:100パーセントそうよ。日本ツアーから帰った後、2ndアルバムを作ったから、日本から受けた影響の曲は何曲もあるの。1stアルバムの曲にも日本からの影響はあるわ。でもそれは映画とかで観た、私なりの日本の文化の解釈。日本の映画やアニメには強い女性が出てくるでしょ。女性のスーパーヒーローとか、殺し屋だったり、ファイターだったり。どんなに美人でも、どんなに小柄でも、ヤバい女性ばかりなの。私、そこからスゴくインスピレーションをもらって。1stアルバムの『Badlands』にはそういうコミックブック的なメンタリティがあると思う。



そのとき私が知ってた日本は、映画の『ブレードランナー』や『ロスト・イン・トランスレーション』のイメージだったから。東京はカラフルで明るくて、エレクトリックで、巨大だから迷ってしまう。その感覚が私にはクールだったの。それに、日本のファンとはスゴくつながりを感じるわ。だって、好きなものがたくさんかぶってるでしょ。私もマンガやアニメが大好きだし。次のアルバムでも日本語の曲を作ったり、日本人アーティストに参加してもらったり、そういうことを考えてる。日本人のSkinny Badass(細身のヤバいヤツ)がいたら最高だわ。Skinny Badassって実は私のラッパー・ネームなんだけど(笑)。

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