Apple Music、アマゾンEchoへのサービスを開始

今後はAlexaを搭載したアマゾンのスマートスピーカーEchoでもApple Musicが利用できる。(Photo by Shutterstock)

Alexaを搭載したスマートスピーカーEchoでもApple Musicが再生できるようになる、とアマゾンが発表。遂にライバルのアマゾンとアップルが手を組むこととなった。

アップルがそのエコシステムを頑なに囲い込み続けてきた時代は終わった。もともとはiPhoneやMacなどのiOS対応デバイス専用として大手技術企業のアップルが世に送り出したApple Musicは、その後静かに音楽ストリーミングサービスやAndroidデバイスへと勢力を拡大し、その範囲は広がり続けている。米現地時間11月30日(金)、アマゾンは間もなくApple Musicの定期購読者も音声アシスタントAlexaを搭載した自社のスマートスピーカーEchoでApple Musicのサービスが利用できるようになると公表した。今後Echoの利用者はアーティストの楽曲、アルバム、プレイリスト、そしてApple Musicのラジオ局「Beats 1」などを再生するよう、Alexaに指示できるのだ。

アマゾンが喜ぶのは当然である。Eコマース企業のアマゾンは独自の音楽ストリーミングサービスを展開しているものの、EchoデバイスでApple Musicが利用できることによって得られる利益がAmazon Musicが被ると予測される損害をはるかに上回ることを心得ているのだ。それに、Echo利用者は何年にもわたってサポートフォーラムなどでApple Music対応の実現を訴え続けてきた。「音楽はAlexaで一番人気の機能の一つです」アマゾンデバイスでシニア・バイス・プレジデントを務めるデイヴ・リンプ氏はプレスリリースで述べた。「4年前にAlexaを発売して以来、家庭で音楽を聴くお客様の数はかつてないほど増加しました」さらにアマゾンは、今の時代の消費者がAlexaを使って「毎月何千万時間ものラジオ番組をストリーミング配信で聴いている」と指摘した。

それでも、なぜアップルは大切なサービスを競争相手の製品、それもアップルのホームスピーカーHomePodのライバルである、ホーム用スマートスピーカーEchoにも対応できるようにしたのだろう? 理由はApple MusicとAndroidの場合と同じである。世界中の人々をアップルのハードウェア製品の世界に惹きこむと同時に非ハードウェア製品の成功を望むのであれば、少しばかりの犠牲が必要なのだ。最新の統計によれば、Spotifyが1.91億人のユーザーを抱えているのに対し、Apple Musicのユーザー数はおよそ5千万人である。Apple Musicは新しい機能やプロモーションなどを必死に打ち出すことで、どうにかしてSpotifyに追いつこうとしている。しかし、Apple Musicと高価なアップルのデバイスの両方に大枚をはたく人はごく一部である。すでに所有している、あるいは購入を検討しているデバイスでもApple Musicが利用できるなら、ぜひこのサービスを使ってみたいと思う消費者を取り入れれば、劇的な増加が見込めるのだ。たとえば、Androidの市場は10億人のスマートフォンユーザーによって成り立っている。アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏もまた、2017年の第4四半期にEchoの販売数が2千万に達したと発表している。

Apple Musicは米国で12月17日の週よりAlexaを搭載したEchoデバイスでも利用できるようになる。日本展開はまだ未定。

Translated by Shoko Natori

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