ジョルジャ・スミスも寵愛する鍵盤奏者、アマネ・スガナミが語るマイシャとUKジャズの裏側

マイシャのアーティスト写真。右から2人目がアマネ・スガナミ。(Photo by Sonni Rossi)

サウス・ロンドンの新世代ジャズ・シーンを代表するバンド、マイシャで鍵盤を弾くアマネ・スガナミを直撃。日本のルーツとイギリスの音楽教育、UKジャズの現場を語った。

ローリングストーンのUS版も「Jazz’s New British Invasion」という記事をアップしているように、現在進行形のロンドン・ジャズが盛り上がりを見せた2018年。シャバカ・ハッチングス、エズラ・コレクティヴなど重要アクトが参加し、起爆剤となったコンピレーション『We Out Here』で1曲目を飾った6人組がマイシャだ。彼らは今年11月に、1stアルバム『There Is A Place』をリリースしている。

そこに参加しているアマネ・スガナミは、ジャズの外側でも活躍。今年ブレイクしたジョルジャ・スミスやジェイミー・アイザックのほか、ブルーノ・マーズとの共演まで果たしている。シーンの隠れたキーパーソンに、『Jazz The New Chapter』シリーズで知られるジャズ評論家の柳樂光隆が迫った。



UKシーンで若手関連の動画をパラパラ見ていると、アジア人らしき演奏者がいることに気が付いた。名前を調べたら、アマネ・スガナミとある。「UKのシーンに日本人がいる!?」と気になったところで、ロンドンで活動している彼に取材をオファーした。

「両親がお互い出会う前に留学でイギリスに来て、そのままイギリスで結婚をして、僕が生まれたんです。住んでいたのはロンドンとウェールズですね。僕は生まれてからずっとイギリスに住んでいて、日本で暮らしたことは一度もないんですよ。旅行ではしょっちゅう行っているんですけどね。ちなみに、日本語を勉強したこともありません。僕はその代わりに音楽を選んだと思っているので(笑)。以前はもう少し日本語も話していたんですけど、今はもう英語だけですね」

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というわけで、スガナミはイギリスに移住した日本人を両親に持つ、イギリス生まれの日系人。このインタビューも通訳を介して、英語で行ったものだ。ここから、スガナミがどんな音楽遍歴を経てきたのかを幼少期から辿ってみたい。

「ピアノを4歳に始めたのが最初。演奏していたのはやっぱりジャズですね。そのあとフルートやサックスも習ったんですけど、最終的にその2つはやめて、ピアノに集中するようになったんです。12歳くらいから本格的に音楽を学び始めて、それからずっと音楽学習に集中するようになりました。その頃にプライベートレッスンで習っていたのは、ジャズとクラシック音楽。ほとんど演奏の仕方についてですね」



「高校生になるとクラシックには興味がもてなくなって、そのままジャズを勉強するようになりました。高校ではバンドに入って、ギグをやるようにもなりましたね。当時、自分たちでバンドをやっていて、そこではジャズをやっているつもりだったけど、今考えるとあれはジャズバンドとは呼べるものではなかったのかな(笑)。自分たちはジャズにインスピレーションを受けて、即興で曲を書いていたつもりだったけど、あれはジャズとは違っていたと思う。呼び名もわからない音楽ですね(笑)」

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