ボブ・ディランとニール・ヤングが初共演した1975年のコンサートを回想

ボブ・ディランとニール・ヤングは、1975年3月

1975年3月、サンフランシスコで開催されたビル・グレアムが主催したSNACKコンサートで、ボブ・ディランとニール・ヤングという2人のアイコンが『ヘルプレス』と『天国への扉』を披露した。そのステージを回想する。

ボブ・ディランとニール・ヤングは、2019年にロンドンのハイドパークで開催される巨大コンサートのヘッドライナーとして出演することを発表した。両者が同じコンサートに出演するのは2016年のデザート・トリップ以来だが、2016年は別々の日にステージへ上がっている。ディランとヤングが同じステージでプレイしたのは、1994年10月20日まで遡る。ローズランド・ボールルームでのディランのコンサートに、ニール・ヤングとブルース・スプリングスティーンが登場し、『雨の日の女』と『追憶のハイウェイ61』を歌った。

1960年代前半、ニール・ヤングが曲作りを始めた頃に最もインスパイアされたアーティストのひとりが、ボブ・ディランだった。「彼は巨匠だ」とヤングは、2005年にタイム誌のインタヴューで語っている。「誰かに生まれ変われるとしたら、ボブ・ディランを選ぶ。彼は素晴らしい作家で、音楽に対して誠実で、彼が感じるままに行ってきた事は、これから先何年経っても正しい行いとして残っていく。彼は偉大な詩人でもあり、それが曲となって僕を感動させてくれた。他のアーティストもやっていることなんだが、ディランほど信念が一貫して熱い人はいない」

ディランとニールは1970年代の初めから友人として付き合い始めたが、ステージでの初共演は1975年3月23日だった。2人は、サンフランシスコのキーザー・スタジアムで行われたビル・グレアム主催のSNACK(Students Need Athletics, Culture and Kicks)コンサートに出演した。同コンサートには、サンタナ、ジェファーソン・スターシップ、ジョーン・バエズ、グレイトフル・デッド、タワー・オブ・パワー、グラハム・セントラル・ステーションら多くのアーティストが名を連ねていた。そこでディランとヤングはそれぞれのバンドをミックスし、1回限りのスーパーグループを結成した。メンバーの中には、ザ・バンドのリヴォン・ヘルム、リック・ダンコとガース・ハドソン、さらにザ・ストレイ・ゲイターズのティム・ドラモンドとベン・キースもいた。

コンサートはサンフランシスコのK101-FMで放送されたため、すぐにブートレッグ版が出回った。おかげで今、『ヘルプレス』や『天国への扉』等を聴くことができる。『天国への扉』のコーラス部分“Knockin’ on Heaven’s Door”の歌詞は、“Knockin’ on Dragon’s Door”と変えて歌われた。当時の状況を考えると、彼らの中で(クスリによる)精神的な“化学変化”が起きていた可能性もある。

2019年夏のハイドパークでは、もしかしたら『“ドラゴン”の扉』のリバイバルが聴けるかもしれない。しかし最近は、ディランが自分のステージへゲストを招くことは非常に稀だ。10年前にディランは、ニール・ヤングが少年時代を過ごしたウィニペグの生家を訪れたとも言われているが、ディランとヤングがステージで一緒に歌うことはないかもしれない。





Translated by Smokva Tokyo

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