「人形」を相手にする風俗店がカナダやロシアで密かなトレンドに

だが、セックス研究の権威に挙げられるキンゼイ研究所の専門家によれば、セックスドールの風俗店にはまた別のメリットがあると言う。性的体験を求めることを抑制された人々、法的に禁じられた人々、あるいはためらっている人々も、セックスする機会が得られるという点だ。

「社会性に問題を抱える人は、異常な性的表現に極端に走りやすいことがずいぶん前からわかっています」と語るのはジャスティン・リーミラー博士。キンゼイ研究所の研究員で、『Tell Me What You Want』という著書も出版している。「自らが望む性的関係を他者と持つことができないと、ほとんどの人が、性的欲求を満たす代替案として、他者の介在を必要としない手段を模索します」

人形はまた、一夫一妻制の関係で満たされない人々に別の選択肢を提供してくれる。「セックスレスの夫婦かもしれないし、性的満足を得たい夫婦かもしれない。でもだからといって、彼らは夫婦の誓いを破るつもりはないんです」とレーミラー博士。あるいは単純に、まったく新しい体験に惹かれている人もいるだろう。「人間は目新しいものに惹かれる傾向があり、常に自分たちの性的欲求を満たしてくれる斬新かつ刺激的なものを求めていることが分かっています」と博士は言う。著書のリサーチのために、レーミラー博士は4000人にインタビューを実施。その結果、15パーセントがロボットとのセックス願望があったという。だとしたら、本物そっくりの人形とセックスするのも大して変わらない。人形の中には、機械仕掛けのタイプもあるのだから。

もちろん、人形相手に興奮する人がいる一方、大多数の人はセックスドールの風俗店に違和感を覚えるようだ。10月にヒューストンでセックスドール風俗店の開業が提案されたが、市議会が条例を改正し、市民は「非有機体との性行為のサービス業務に携わる」ことができなくなったため、計画は頓挫した。

だがAura Dollsは、世の中の大きな流れの一部だ。そして今後も成長し続けるだろうとセルジ・プリート氏は言う。バルセロナでもブームになりつつあるセックスドール風俗店LumiDollsの共同創業者でCEOだ。今やモスクワ、トリノなどあちこちに業務を拡大し、中にはバーチャルリアリティ・ヘッドセットといった最新テクノロジーを搭載した店もある。プリート氏は、年内にLumiDollsの支店を2店舗以上増やす予定だと言う。ただし、オープン予定地については明かしてもらえなかった。

だがレーミラー博士いわく、風俗業界はもうかるだろうが、従来の売春業に取って代わるかどうかは疑問だと言う。

「男性も女性も多くの場合、性的行為を通して感情的な欲求を満たしたいと願っているんです。誰もが相手から求められたい、承認されたい。自分が有能だと感じたいし、愛されたい」とレーミラー博士。「ですから、人形やロボットとのセックスといっても、本気で求める人は比較的少数だと思いますよ。人間の願望を満たすことはできませんからね」

Translated by Akiko Kato

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