多彩な顔を持つ中川翔子が「歌」や「アニソン」を大切にする理由

―「blue moon」は約3年半ぶりのリリースで、秋のワンマンライブのときのMCで特別な思いをこめて歌詞を書いたと話されてましたよね。確かに、中川さんのいろんな思いが凝縮されている気がしました。3年半ぶりに歌詞を書く中で、どこから言葉を紡ぎ出したんですか?

中川:3年半という時間にすごく意味があったのかもって今は思えるんですけど、『ゾイドワイルド』というアニメのテーマソングでもあるので、作品の世界観にはもちろん寄り添っています。アニソンだから聴くという人も、きっかけとしてはとてもありがたいし 私自身も時が経って聴いたときに、その作品とのリンク性があってほしいなと思う。いまアニメを見ている子どもたちが、いつか大人になったときに懐かしいって感じられるような、こういう意味もあったのかって発見できるような歌詞がいいなと思いました。

作詞は3年半前の「ドリドリ」以来ですが、「blue moon」は“ありえないほどの奇跡”っていう意味もあって。相棒との絆や奇跡、未来に向かって進んでいく少年の物語なんですけど、自分の人生もまたすごく大きな出会いや別れがあったので、今までがあったからこそ生まれた言葉たちなんじゃないかなと思います。昔だったらわからなかった尊さや美しさ、人への感謝、想ってもらえたり見守ってもらえたり、そばにいてくれることがどれだけ強さになっていたか。今、ふと立ち止まったときにすごく感じられたことでもあるので、タイトルはこれしかないなと思いました。



ただ、必ずしも別れの曲ではなくて、想ってくれた大事な人への感謝と愛の歌であり、もらった気持ちの分、誰かに対して無償の愛を持ってほしいなと。ミュージック・ビデオは監督さんが、友情と捉えて撮ってくださいました。それぞれの人生がある中で、心にある大切な存在って恋人だったり両親だったり子どもだったりペットだったり友達だったり違うと思うので、大切なものを心に思い浮かべながら聴いていただきたいなと思います。個人的になりすぎないように気をつけているんですけど、やっぱり歌詞を書いているときは本当にその存在を思い浮かべながら書きました。

月って絶対そこにいてくれるんですよね。満ち欠けしても皆既月食でも。昼だって空にいてくれるし、雲がかかっても雨が降っても同じ目を向けてそこにいてくれるから、コンサートのときにも“空にも気持ちが届いているし見てくれている”と感じられる。もう会えないんじゃなくて、ずっとずっと心の中ではそばにいるって思えるし、もちろん今そばにいる人たちもそうですけど、物理的に会えない状況であっても、その存在が力になるっていうことに対しての感謝ですね。

―いろんなタイミングが重なってこの1曲ができたのかなって感じがします。

中川:諦めずに腐らずに、時が来るのを待っていて良かったなと思いました。続けられたこともそうだし、そういう場所をくださった皆様にも感謝ですね。

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