高橋ユキヒロ、ソロ40周年記念ライブに細野晴臣も飛び入り

高橋ユキヒロ(幸宏)の「Saravah! 40th Anniversary Live」の模様(Photo by 三浦憲治/TEAM LIGHTSOME)

高橋ユキヒロが、アルバム『Saravah Saravah!』のリリース記念ライブを11月24日に東京国際フォーラム・ホールCで行った。同作は、高橋幸宏が“高橋ユキヒロ”名義で1978年6月21日に発表したソロ第1作『Saravah!』のボーカル・パートのみを再録音し新たにミックスダウン~マスタリングを施し、ソロデビュー40周年を記念して今年10月にリリースされたもの。この日のライブは、『Saravah Saravah!』の完全再現を目玉とし、オリジナル盤の録音にも参加した林立夫を筆頭に11人の豪華ミュージシャンが参加した。

開演前、場内にはフランシス・レイらのBGMが流れアルバムに漂うフレンチ・ムードを盛り上げる。曲が高橋幸宏の「今日、恋が」に変わり、その後、イントロダクションのインストが始まるとスクリーンにはセピア調のフランス映画の映像が流れ、いよいよメンバーがステージに上がる。トム・ブラウン製のブラック・スーツに身を包んだ高橋ユキヒロが歌ったのはアルバム1曲目の「VOLARE(ボラーレ)」。

この日のライブはアルバムの曲順通りに演奏される。それゆえ『今日はゆったりとやります!理由は曲が少ないから(笑)』と1曲終わる毎にMCが入った。

アルバム・タイトルの『Saravah!』はユキヒロが敬愛するピエール・バルーの「サンバ・サラヴァ(映画”男と女"挿入曲)」から取られている。ソロ・アルバムを出す時には、タイトルはこれにしようと決めていたそうだ。先日亡くなったフランシス・レイとピエール・バルーに捧げますと歌ったのは「SARAVAH!(サラヴァ!)」。さらにクロード・ルルーシュ監督作品に出演していたイヴ・モンタンが歌っていた「C’EST SI BON(セ・シ・ボン)」とフランス映画にからんだ曲が続いていく。

4曲目の「LA ROSA(ラ・ローザ)」では、オリジナル盤の松木恒秀と大村憲司のギターがHDから流れる。そこに佐橋佳幸のギターが重なり時空を超えた競演も披露され、亡くなった二人のギタリストを2018年のステージに蘇らせた。

LPでのA面が終わっての6曲目の演奏前、スクリーンには、アルバムの録音にも参加し共同プロデュースも担当した坂本龍一の姿が映し出される。先ずはお祝いメッセージがあり、ライブに参加出来なかった事を残念がる。次に演奏される教授作のインスト・ナンバー「ELASTIC DUMMY(エラスティック・ダミー)」については『難しい曲ですね。 自分でも、よく弾けました』とコメント。同曲での驚異的なキーボードは教授の手弾きだ。『バッキングが難しいので、呼ばれなくて良かった(笑)。そこは若い人に譲って』。これに応えたのはDr.kyOn。至難のキーボードをパーフェクトに演奏し、見事に重責を果たした。

『あの人(教授)が出てきたので、そろそろ、この人にも』とステージに呼び込んだのは細野晴臣。登場するや、会場から大きな歓声が上がる。細野が有賀啓雄とのツイン・ベースで参加した「PRESENT(プレゼント)」で、アルバム収録曲はすべて演奏され、本編が終了。

『アルバムは全曲やったんで、どうしようと思って。なので今までやった事ない曲演ります!』とアンコール1曲目に演奏されたのは「4月の魚」。高橋幸宏が主演し、音楽も担当した大林宣彦監督の映画「4月の魚(1986年5月31日公開)」の主題歌で、この曲にはピエール・バルーもヴォーカルで参加している。ライブで演奏されるのは初めてという事もあって、オールド・ファンは大喜びだ。次の「BRAND NEW DAY」も同映画のサントラに収められたナンバー。この曲は、フランシス・レイとバート・バカラックの両方の影響を受けて書いた曲だそうで、続いてはバカラックのカバー「THE LOOK OF LOVE」。曲の中盤、ユキヒロはドラムセットに移動し、そのまま次の「MAJI」に入る。1985年のソロ・ツアーのみで演奏されたアルバム未収録のインストゥルメンタル・ナンバーだ。激しいビートのテクノ・ファンク・サウンドで圧巻はユキヒロ、林立夫のツイン・ドラムに藤井珠緒のパーカッション、ベース・有賀啓雄らリズム隊の凄まじいまでの競演。全体にゆったりとした演奏が続いたこの日のライブだったが、最後に爆ぜた。オーディエンスも大満足の中、これで終了!かと思われたが、メンバーは再びステージに表れる。

なんとセカンド・アンコールだ。再び細野晴臣が登場し、今度はアコースティック・ギターを構える。ユキヒロから『ちょっとアレンジ変えて、もう1回演ります!』と始まったのはアルバム・タイトル曲の「SARAVAH! (サラヴァ!)」。宣言どおり、原曲とは違ったアコースティック・アレンジで、ユキヒロのボーカルが映える。中盤からはオリジナル・アレンジに戻ってオーディエンスを沸かせ、2時間超に及んだ「Saravah! 40th Anniversary Live」は終了。ソロでのライブは久しぶりとなった高橋ユキヒロ(幸宏)は『また、新しいアルバムを作りますね!』と残し、ステージを降りた。

ソロ活動40周年を総括した「Saravah! 40th Anniversary Live」はこの日一夜限りのプレミアム・ライブとなり幕を閉じた。



Saravah! 40th Anniversary Live/SET LIST
2018年11月23日(土)東京国際フォーラム ホールC

SIDE-A
01.VOLARE (NEL BLU DIPINTO DI BLU) / ボラーレ
02.SARAVAH! / サラヴァ!
03.C’EST SI BON / セ・シ・ボン
04.LA ROSA / ラ・ローザ
05.MOOD INDIGO / ムード・インディゴ

SIDE-B
06.ELASTIC DUMMY / エラスティック・ダミー
07.SUNSET / サン・セット
08.BACK STREET MIDNIGHT QUEEN / バック・ストリート・ミッドナイト・クィーン
09.PRESENT / プレゼント

1st Encore
10.4月の魚/11.BRAND NEW DAY/12.THE LOOK OF LOVE/13.MAJI

2nd Encore
14.SARAVAH! / サラヴァ!

メンバー
高橋ユキヒロ
佐橋佳幸(G)、Dr.kyOn(key)、林立夫(Dr)、矢口博康(Sax)、有賀啓雄(B)、斎藤有太(Key)、ゴンドウトモヒコ(Ehpho, Computer, etc)、藤井珠緒(Per)、重住ひろこ(Cho)、岡村玄(Cho)、ツヤトモヒコ(Cho)
細野晴臣(B,AG)

Rolling Stone Japan 編集部

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