クイーン自伝映画『ボヘミアン・ラプソディ』を事実検証

3. フレディがメアリー・オースティンに出会ったのはクイーンに加入した日ではなかった

映画では、フレディが未来の恋人メアリー・オースティンに出会ったのは、初めてバンドと遭遇し、メンバーになる30秒前になっている。もちろん、事実はもっと複雑だ。オースティンは最初、短い間ブライアン・メイと付き合っていた。その後、フレディの友達の輪に登場したのは、彼がクイーンのリード・シンガーになってからのことである。

4. レイ・フォスターというレコード会社の重役は存在しない

映画の登場人物の中でもかなり興味深いのが、マイク・マイヤーズが演じるレコード会社重役レイ・フォスターだ。マイク・マイヤーズの面影がほぼ消えているこのフォスターは、クイーンに商業的な音楽を作る必要を力説する。また、彼は最初に楽曲「ボヘミアン・ラプソディ」を聞いて、この曲を毛嫌いし、シングルでのリリースを拒む。このため、バンドは不機嫌に部屋から立ち去り、窓の外から石を投げつける。フォスターのキャラクターはEMIのロイ・フェザーストーンをモデルに作られているが、フェザーストーン自身はクイーンの大ファンだった。しかし、フェザーストーンが「ボヘミアン・ラプソディ」がシングル曲としては長すぎると思ったのは本当だ。この点以外のフォスターのキャラクター設定はフィクションである。

5. フレディの恋人ジム・ハットンは彼の使用人ではなかった

映画の中では、究極に堕落したパーティーで泥酔して、意気消沈したフレディがジム・ハットンという名前の給仕を無理やり口説こうとする。ハットンはフレディを拒絶するが、その夜二人は何時間もよもやま話をすることになる。数年後、フレディは電話帳でハットンを探しだし、デートし始める。しかし、実際は、ハットンはサヴォイ・ホテルに勤務する美容師で、知り合ったのはナイトクラブだった。

6. クイーンは一度も解散していな

1985年のライヴ・エイドでのパフォーマンスに向けて盛り上げるためか、最も現実と離れたストーリーラインが用意された。フレディが密かに400万ドルのソロ・プロジェクトにサインし、バンドとしばらく距離を置きたいと暴露するシーンがある。当然、残りの3人は激怒し、それぞれの道を進む。しかし、事実はこうだ。ほぼ10年間ずっとツアーを続けたメンバーたちは、1983年になる頃には燃え尽きていた。全員が休暇を必要としていたのだ。劇中ではメンバーがフレディに何年も口をきかなかった雰囲気を醸しているが、彼らは1983年の後期にはアルバム『ザ・ワークス/The Works』の制作を始めており、疎遠になったことは一度もなかった。

Translated by Miki Nakayama

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