ONE OK ROCKの「音楽DNA」を再確認、オーケストラとの競演で見せた実験性とリアリティ

Photo by Run Hashimoto(SOUND SHOOTER)

ONE OK ROCKがフルオーケストラとの競演ライブを行うと聞いて、真っ先に思い浮かんだのがメタリカのライブ・アルバム『S&M(Symphony & METALLICA)』(1999年)だ。作品ごとにヘヴィメタルの可能性を広げてきた4人が、フルーケストラを従えて臨んだメタルとシンフォニー・オーケストラの融合。『ONE OK ROCK with Orchestra Japan Tour 2018』と銘打たれた今回のコンサート、はたしてどんなスタイルのSymphony & ONE OK ROCKを見せてくれるのだろうか?

足を運んだのは2018年10月21日のさいたまスーパーアリーナ公演。「Change」で幕を開けたセットリスト前半は、「Ending Story??」「欠落オートメーション」「Cry out」「Decision」「アンサイズクリア」と続いた。シンフォニックな響きが曲のスケール感を倍増させた「Change」はもちろんのこと、疾走感のある「Ending Story??」もいつも以上にドラマティックな雰囲気を放つ。ステージ上のメンバーはフォーマルな衣装に身を包み、Taka(Vo)は「今日はこの感じで、最後までやらせていただきます!」と話す。

オーケストラのアレンジだけでも豪華絢爛だが、「Cry out」「Decision」ではオーディエンスの強力なシンガロングもミックスされ、会場の臨場感はまさにロック・オーケストラと呼ぶにふさわしいものだった。

Ryota(Ba)の「いつもは半パンでダボダボな格好だけど、今日はスーツのパンツなので足が広げられない(笑)。姿勢がめっちゃ良くなる」というMCに続き、Takaが「ONE OK ROCKにはいろんな曲がある。今回はこれまで久しくやってなかった曲を3曲、オーケストラ・バージョンで演奏します」と言って披露されたのが、「欲望に満ちた青年団」「カゲロウ」「Yes I am」だ。

「欲望に満ちた青年団」「カゲロウ」は2007年の1stアルバム『ゼイタクビョウ』からの曲だ。管楽器のフレーズとストリングスのリフレインがポップス調の曲に馴染む「欲望に満ちた青年団」、歌い出しから驚きの歓声が上がった「カゲロウ」では流れるような歌メロと余白を活かしたバッキングを聴かせてくれた。

「この曲はこれまでにもいろいろアレンジを変えている。それだけ面白さが詰まってる曲」とTakaが語った「One Way Ticket」は、安定のオーケストラ・バージョンでONE OK ROCKのポップな側面を浮かび上がらせていた。曲が終わりTakaが話す。

「ONE OK ROCKって、初期の頃はすごくJ-POPなんです。こうやってストリングスを入れてみると、あらためて気づかされるんですよね。俺らは日本の曲を聴いて育ったんだなって。懐かしいというか、肌馴染みがいい。“カゲロウ”や“Yes I am”のような曲はオーケストラのアレンジがハマるんです。でも海外で作ってきた最近の曲はメロディの数も少ないし、オーケストラに合わせるのが難しい。逆にそれが勉強になった」


Photo by Run Hashimoto(SOUND SHOOTER)

その言葉が示すように、フルオーケストラならではのアレンジが映える曲は想像以上に映える。その一方、もともとの魅力をさりげなく際立たせてくれるような、アクセント的な役割でオーケストラが存在感を放っていた曲もあった。以前Takaが「僕らは海外の音楽をずっと聴いてきた」と話してくれたことがあったが、もっとさかのぼってみると日本のJ-POPや歌謡曲が、その根っこにはあるということなんだろうなと再確認した。

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