小出祐介×福岡晃子が独占全曲解説 多彩な問題作『マテリアルクラブ』に迫る

4.Amber Lies 「リヴァーヴ大盛りの仕上げも日本じゃないみたいで最高」(小出)

小出:僕もあっこも初挑戦となる完全英詞の楽曲。デモの仮歌がインチキ英語だったのもあり、ディレクターが英詞がいいんじゃないかと言ったのがきっかけでやってみることにしました。監修はReiちゃん。僕の書いた日本語詞を訳してくれました。あと、発音指導も。おかげでそれっぽく歌えましたが、英語の発音って日本語と体の使い方が全然違うんだと勉強になりました。リヴァーヴ大盛りの仕上げも日本じゃないみたいで最高。

福岡:甘いメロディだけど、オケのスパイスが絶妙だなと思う曲です。全体のサウンドに関しても、ここまで思い切ってリヴァービーにするのは初めてでした。Reiちゃんに発音を指導してもらい、手探りの状態で英詞を歌入れしました。英語で歌うのは本当に体力勝負でした。

5.告白の夜 「TOSHI-LOWさんにはきっとトレンディーな曲が似合うはず!」(小出)



小出:TOSHI-LOWさんにはきっとトレンディな曲が似合うはず!と思ってはいたんですが、いざ歌っていただくと、コートの襟を立てたTOSHI-LOWさんの姿が浮かぶほどトレンディな仕上がりになり、ガッツポーズでした。TOSHI-LOWさんのアイデアで、元々高くはなかったキーをさらに全音下げたのが大きかったと思います。成田ハネダによる鍵盤、特にエンディングのフレーズに茶目っ気があって、「いまならやれる気がする」感を演出してくれています。

福岡:打ち込みでバラードを作ることの難しさを実感した曲でした。生のサンプリングを足すなど、音の熱量を加減してバランスを整えました。TOSHI-LOWさんの歌声が入ると一気に世界観が完成して、めちゃくちゃホッとしたのを覚えてます。こいちゃんのトレンディーディレクションが冴え渡る1曲。

6.kawaii 「福岡晃子の中のシュールが開花しました」(小出)



小出:問題作です。福岡晃子の中のシュールが開花しました。元々はニューウェーブっぽいインストだったんですが、それがなぜかこんなことに。岸井ゆきのさんによる「ずっと何言ってんの?」的なナレーションはもちろんですが、単純にインストとしてもシュールだからすごい。

福岡:架空の動物のドキュメンタリーを作りました。ゆきのちゃんの素晴らしいナレーションを録音したのち、それをPCで再生してその音をまたマイクで拾うという、今思えばとんでもなく勿体無い(贅沢ともいう)ことをさせてもらいました。個人的には動物の鳴き声もチャームポイントだと思っています。

7.Material World 「全ての素材が曲の中で燃焼されている」(福岡)

小出:Mummy-DさんとRyohuをお迎えしたこの曲もまた、マテリアルクラブの哲学についての楽曲です。「何かを作る上で、自分に影響を与えるすべてのものが素材」というのがマテリアルクラブの名前の由来。そこにはもちろん「人間関係」も含まれます。M1“Nicogoly”で歌われるように、Dさんの言葉があったから、この曲で歌われるようにRyohuとBase Ball Bear「3.5枚目」を作ったから、今があり、マテリアルクラブがあるわけです。

福岡:この曲のオケはほとんどこいちゃんが作ってきてくれました。デモの段階からめちゃくちゃ格好良いと思っていたんですが、Mummy-DさんとRyohuのラップが入ったらもう本当にマテリアルワールドになって、全部が繋がりました。全ての素材が曲の中で燃焼されていると思います。

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