エディ・リーダー、最新作『キャヴァリア』を携えたロンドン公演のライブレポが到着

ロンドン・ブッシュ・ホールのステージに立つエディ・リーダー(Photo by Genevieve Stevenson)

4年ぶりにリリースされた通算11作目のアルバム『キャヴァリア』を携えて、2019年2月にジャパン・ツアーを開催することが決まっているエディ・リーダー。彼女がフェアーグランド・アトラクション時代を過ごした、「第二の故郷」とも言えるロンドン・ブッシュ・ホールで行った公演のライヴ・レポートが公開された。

エディ・リーダーがニュー・アルバム「キャヴァリア」を携えて英国ツアーを開始。10月21日にロンドン公演を観た。会場はシェパーズ・ブッシュ・マーケット近くのブッシュ・ホール。かつてはスヌーカー(英国のビリヤード)・ホールだったという彼女お気に入りの会場だ。満杯で立ち見も出ていたが、それでも観客は300人ほど。彼女ならこの倍の広さでもいいだろうが、親密な雰囲気を求め、あえて小さな会場を選んだようだ。エディは開口一番「故郷に帰ってこれて嬉しい。ロンドンは部分的に故郷の街だから」と挨拶。もちろん彼女は00年代前半に帰郷して今も暮らすスコットランドのグラスゴー出身だが、80~90年代はこの街に住んでいた。「フェアーグラウンド・アトラクションの曲はすべてロンドンで書かれた」と話した通り、ロンドンを舞台にした曲が幾つもある。そこで、この夜のコンサートは「ハレルヤ」で始まり、フェアーグラウンド・アトラクション時代の曲も多く歌われた。

幸いに前方の席を確保し、エディの歌う姿を間近で観られた。手の動作をたくさん交えて楽しげに歌う彼女だが、実のところどの曲も本当に全身全霊をこめて歌っているのがよくわかる。でも、こちらに届く歌声はとても軽やか。高音域でメロディーをフェイクするところの巧みなコントロールなど、そのしなやかな歌唱はやはり絶品だ。エディはよくしゃべり、曲にまつわる話にユーモアを交えて披露する。よくわかったのは、自作であれ、夫ジョン・ダグラス(トラッシュキャン・シナトラズ)や長年の相棒ブー・ヒュワディーンの曲であれ、伝統歌やスタンダードであれ、エディの歌う曲はどれも、彼女自身の人生の様々な場面や係わった人びとと密接につながっているということ。例えば、「ムーン・リヴァー」は過去の日本公演でも何度も歌ったと思うが、よく取り上げるのは美しいスタンダードだからだけでない。狭い家に親戚や友人が集ってのパーティーで母ジーンがよく歌う曲だったのだ。観客に「ジーン、歌ってよ!」とせがませて、母に扮したエディが喫煙や飲酒の細かい演技も交えて歌うジーン版「ムーン・リヴァー」は当夜の聞きもののひとつだった。

「あなたの曲なんだから、あなたが歌ってもいいのよ」とブーに訊ねてから歌った「天使の溜息」やスコットランドの国民的詩人ロバート・バーンズの「アイ・フォンド・キス」などの人気曲を交えて進行したコンサートは、会場の許す時間ぎりぎりまでねばり、2時間に及んだ。全21曲で、「キャヴァリア」からは11曲も歌った。つまり、半分が新曲だったわけだが、それらを耳慣れぬと感じることはなかった。どの曲も常にエディ・リーダーという女性の人生が反映した作品で、新旧と関係なく響き合うからだろう。新曲のひとつに「心の中に古い曲にしか見つけられない場所がある」と歌うブー作「オールド・ソングス」があるが、彼女の音楽は音楽スタイルや流行を超えたタイムレスなもの。だからこそ「パーフェクト」の大ヒットからちょうど30年経った今も愛され続けているのだ。

エディを支えるのは、ギターのジョンとブー、ベースのケヴィン・マグワイア、アコーディオンのアラン・ケリーといった常連に新顔数人を加えた顔ぶれだが、バンドの新たな華となっているのは、アランの妻で、同じくアイリッシュのステフ・ジェレマイア。フルートやウィッスルだけでなく、サックスも吹き、コーラスも担当し、エディの音楽に新たな色彩を与えている。

さて、エディは2月に来日が決定しており、彼女もバンドの面々も待ちきれないと口を揃える。エディによると、フェアーグラウンド・アトラクションとの初来日時に名古屋のクラブ・クアトロのこけら落としに出演し、それから何度も出演してきたクアトロは彼女にとって特別な会場であり、東名阪のクアトロを回る今回のツアーはいっそう楽しみだという。

Text by 五十嵐正
photo by Genevieve Stevenson

EDDI READER @ Bush Hall, London on Oct 21
1. Allelujah
2. Fishing
3. Pangur Bán and the Primrise Lass
4. Maiden’s Lament (An Charraig Donn)
5. Find My Love
6. Dragonflies
7, Old Song
8, Moon River
9. Wonderful
10. Cavalier
11. Fairground Attactions
12. Perfect
13. Ay Fond Kiss
14. Meg O’ The Glen (for our Meg Thomson)
15. My Favourite Dress
16, Patience of Angels
17. Starlight
18. A Sailor’s Farewell To The Sea
19. The Moon Is Mine
20. Moon On The Rain
21. Go Wisely (for all our children and beyond)



<来日公演情報>

EDDI READER

東京公演
日程:2019年2月4日(月)
会場:渋谷クラブクアトロ
時間:OPEN 18:30/START 19:30
料金:¥7,500(税込・1ドリンク代別)

名古屋公演
日程:2019年2月6日(水)
会場:名古屋クラブクアトロ
時間:OPEN 18:30/START 19:30
料金:¥7,500(税込・1ドリンク代別)

大阪公演
日程:2019年2月7日(木)
会場:梅田クラブクアトロ
時間:OPEN 18:30/START 19:30
料金:¥7,500(税込・1ドリンク代別)

公演詳細ページ:
http://smash-jpn.com/live/?id=3023

Rolling Stone Japan 編集部

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