柄本佑と中野裕太が語る、ポルトガルと日本を繋ぐ異色ミステリー制作秘話

『ポルトの恋人たち 時の記憶』に出演する柄本佑(右:ヘアメイク/Kanako Hoshino スタイリスト/Keita Izuka)、中野裕太(左:ヘアメイク/KATO スタイリスト/平松正啓(Y’s C) )Photo by Takanori Kuroda

18世紀のポルトガルと、21世紀の日本を舞台に、柄本佑、中野裕太、アナ・モレイラという3人の俳優がそれぞれ1人2役に挑んだ異色のラブミステリー、『ポルトの恋人たち 時の記憶』が公開される。

主演を務めるのは、『素敵なダイナマイトスキャンダル』『フィギュアなあなた』などで鮮烈な演技を披露した柄本佑。18世紀のポルトガルでは、アナ演じる雑役婦と恋に落ちる口のきけない奴隷役を、21世紀の日本では移民労働者のリストラを平然と行なう冷酷なエリートサラリーマンを熱演。一方、中野裕太は日本人奴隷とブラジル系移民の2役を、見事に演じ分けている。

監督・脚本・編集は、オダギリジョー主演作『BIG RIVER』や『桜並木の満開の下に』の舩橋淳。「復讐」をテーマに交差する、時空を超えた2つのエピソードが観る者に深い余韻を残す。

今回ローリングストーンジャパンでは、柄本佑と中野裕太の対談を行った。ポルトガル映画の巨匠マノエル・ド・オリヴェイラに心酔し、新婚旅行でもポルトガルに半月滞在したという柄本と、短期間でポルトガル語をマスターし、現地の人たちと交流を交わしてきたという中野に、かの地での思い出話などたっぷりと語ってもらった。

──柄本さんは、以前からポルトガルがお好きだったそうですね。そのきっかけは何だったんですか?

柄本:ポルトガル出身の監督で、マノエル・ド・オリヴェイラという方がいらっしゃいまして。もう亡くなられたのですが「現役最高齢の劇映画監督」だったんです。彼の映画を初めて観て、圧倒的なファンになってしまったのが一番のキッカケでした。

初めて観たのは『家路』という、年老いた舞台俳優が主人公の映画。残された短い人生をどう生きるのかがテーマなのかな。ちゃんと説明し始めると長くなってしまうんですけど(笑)、「あ、映画ってこうやって終わっていいんだ!」って。普通は何か大きなカタルシスというか、大団円を迎えて終わるものだと思うのですが、『家路』はそれが「これでいいの!?」みたいな。そこにもの凄く痺れたんです。晩年はもう、カメラをそこに置いて彼が「よーい、スタート!」「はい、カット!」と言えば映画になってしまうという境地にまで至るんですけど。

──へぇ!

柄本:オリヴェイラの映画を映画館で観ると、「俺もう、彼の映画だけあればいいや」って思っちゃうくらい好きなんですよね。よかったら観てみてください。

──ぜひ。そういえば柄本さんは、新婚旅行もポルトガルだったんですよね?

柄本:そう。俺がポルトガルを好きだというだけで、奥さんを付き合わせてしまったという(笑)。3年前に18日くらい滞在しました。その時も、映画の舞台であるポルトという街に比較的長くいたので、「あ、また知ってるところに戻ってこられた」っていう気持ちになりましたね。

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